コンビニエンスストア大手のローソンは2023年、「冷凍おにぎり」を試験導入した。食品ロス“ゼロ”コンビニ構想に弾みをつけるものである。これまでのコンビニの利便性は食品廃棄と表裏一体だった。特集『総予測2024』の本稿では、構想の24年計画を竹増貞信社長が激白した。従来のビジネスモデルからどう脱却するのか。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)
インフレなのに値下げと増量
ワクワクしてもらえるから
――2023年は本格的に人流が回復しました。
新型コロナ禍で外出機会が減り、朝や夜のピークや週末の需要がなくなった。そこで、商品刷新プロジェクトを立ち上げ、生鮮野菜や冷凍食品を置き、夕方や夜間にスーパーの代わりに利用してもらえるような店舗を目指しました。
日常遣いの需要がアフターコロナでも続き、好業績に結び付いたと分析しています。
――インフレをどうみますか。
今のインフレは円安や電気代高騰などで、やむを得ず価格が上がっているコストプッシュ型ですよね。賃上げが後から付いてくる形です。これを、賃上げ先行型の良いインフレにしていかなければならない。24年春の賃上げが、経済を安定させるキーになるでしょう。
――インフレが進む一方で、ローソンは23年に値下げや増量を行いました。
インフレといっても、ずっと物の価格が上がっているのは疲れてしまいますよね。そこで23年2月に「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンを行いました。やっぱり、“ お得感”は多くのお客さまにワクワクしてもらえますから。コミュニケーションの一部として大切にしたい。創業50周年を迎える25年に向けて、価格や量、あるいは品質でワクワクしてもらえる企画に取り組みます。
――23年は試験的に冷凍おにぎりを導入しました。24年の展開は?
「冷凍おにぎり」の導入は、食品ロスゼロのコンビニ構想に弾みをつけるもの。これまでのコンビニの利便性は食品廃棄と表裏一体だった。従来のビジネスモデルからどう脱却するのか。次ページでは、食品ロス“ゼロ”コンビニ構想の24年計画を竹増社長が激白した。また、景気減速や地政学的なリスクが高まる中国での事業の方針、国内の地方エリアへの出店戦略についても明らかにした。