ビデオレンタルチェーンを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の共通ポイント構想に欠かせなかった加盟店がコンビニエンスストアである。日本初の共通ポイントであるTポイントはどのようにコンビニを陣営に加えていったのか。長期連載『共通ポイント20年戦争』の#7では、コンビニ最大手のセブン-イレブンへのアプローチに加え、最終的にローソンが加盟に至った内幕を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
共通ポイントに不可欠のコンビニ
「大本命」はセブン-イレブン
ビデオレンタルチェーンのTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、日本初となる共通ポイントのプロジェクトのスタートに向け、加盟店の開拓を急いでいた。
当初、加盟店開拓は難航が予想されたが、2002年末に、石油元売り最大手の新日本石油(現ENEOSホールディングス)の参画を取り付け、幸先の良いスタートを切った(『ENEOSが「Tポイント加盟」をわずか3日で決断!元売り最大手が“レンタル業者”の構想に乗った全内幕』参照)。
Tポイントの「生みの親」であるCCC副社長の笠原和彦が考案したポイント構想の柱は、各業界の最大手を囲い込む「ナンバーワン・アライアンス」であった。その観点からも、新日本石油の参画は申し分なかった。
ただし、構想にとって欠かせない業態があった。それがコンビニエンスストアである。1990年代にかけて小売業では百貨店やスーパーなどが低迷する一方、コンビニは目覚ましい成長を遂げてきた。
そして、コンビニの店舗網は全国5万店まで広がり、チェーン同士の競争が過熱した。00年代に入ってからは、成長鈍化が指摘されたものの、コンビニはインフラへと進化を遂げる。結局、悲観論をものともせず、その後も高い成長を誇っている。
ポイント構想にコンビニが欠かせない最大の理由が、利用の頻度である。ガソリンスタンドや外食チェーンの場合、利用は多くても1週間に数回程度。だが、コンビニの利用は、それらをはるかに上回る。
コンビニはポイントを回遊させるためにも、なくてはならないピースだったのだ。もちろん、今でも共通ポイントを支える大きな柱として、コンビニの存在感は大きい。
笠原はかねて、コンビニ業界最大手であるセブン-イレブン・ジャパンを巻き込みたいと考えていた。1973年に創業したセブンはコンビニの代名詞でもあり、2001年には銀行業に参入するなどコンビニの進化をリードし続けていた。
実際、笠原は“大本命”ともいえるセブンにアプローチを試みている。