Tポイント消滅で「共通ポイント覇権争奪」は新章へ!楽天、ドコモ、三菱商事…20年戦争の全史Photo:Nicole Hoye/gettyimages

20年前の2003年10月。ビデオレンタルが主業のカルチュア・コンビニエンス・クラブが、日本初の共通ポイントであるTポイントを生み出した。その後、三菱商事がPonta(ポンタ)で追随し、楽天も参入。NTTドコモはdポイントで殴り込みをかけた。4陣営による覇権争いは苛烈を極め、先駆者のTポイントは王座から陥落し、来春に消滅することになった。長期連載『共通ポイント20年戦争』の#1では、プロローグとして、大手通信や大手商社、石油元売り、コンビニなど流通各社も入り乱れた20年にわたる戦いを振り返る。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

共通ポイントに絡む消費は数十兆円規模
TポイントがVポイントと来春に統合へ

 世界にも類を見ない「ポイント大国」の日本。TポイントやPonta(ポンタ)、楽天ポイント、dポイントといった巨大な共通ポイントサービスがひしめき、ポイントは消費者の日常に溶け込む。共通ポイントに結び付く消費は今や数十兆円規模に膨らんでいる。今年、ポイントサービスを巡って、大きな節目となる出来事があった。

「V」の文字があしらわれた目新しいロゴの前で、破顔した2人の男ががっちりと両手で握手を交わした。その2人とは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)会長の増田宗昭と三井住友フィナンシャルグループ(FG)社長グループCEOの太田純だ。

 今年6月13日、両社は2024年春からスタートする新たなポイントサービスに関する記者会見を開いた。最大の見せ場となったのが、両社の首脳がそろい踏みした新たなポイントサービスの“お披露目”である。

 新ポイントは、CCCのTポイントと三井住友FGのVポイントを統合する。そして、新しいロゴはVの文字に、Tポイントのブランドカラーである青と黄が色付けされた。Tポイントの名称とロゴは消滅することになる。

新ポイントのロゴマーク新たなロゴを”お披露目”したカルチュア・コンビニエンス・クラブ会長兼CEO(最高経営責任者)の増田宗昭氏(写真右)と三井住友フィナンシャルグループ社長グループCEOの太田純氏 Photo:JIJI

「青と黄色のVポイントをよろしくお願いします」。増田は会見でそう強調した。日本初の共通ポイントであるTポイントが誕生したのは、2003年のこと。Tポイントは先駆者として共通ポイントの代名詞にすらなってきた。ちょうど20年目を迎える今年、その幕を下ろすことが明かされた。

 Tポイントの歴史は、日本の共通ポイントの歴史そのものでもある。Tポイントの誕生前は、共通ポイントという言葉のみならず、その概念すら存在しなかった。店やサービスごとに乱立していたポイントは、来店を促すための客への単なる「おまけ」にすぎず、巨大なビジネスに化けるポテンシャルに気付いた者はいなかった。