総予測2024#53大阪ガスの藤原正隆社長 Photo by Satoru Oka

低炭素の次世代ガス「e-メタン(合成メタン)」に対する投資判断時期が近付いている大阪ガス。特集『総予測2024』の本稿では、藤原正隆社長がe-メタンの未来図で鍵を握る調達戦略を明らかにした。また、新電力大手としての一手を語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「e-メタン」投資への意思決定へ
国の資金支援、二国間ルールで判断

――2024年に注目するイベントは?

 とにかくe-メタン(合成メタン、水素と二酸化炭素〈CO2〉を合成した新エネルギー)。国に用意してもらっているGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債でファーストムーバー(初期供給者)に対する支援が水素、アンモニア同等にe-メタンで得られるのかどうか。23年の年末ぐらいから、国の審議会がヤマ場を迎えます。

 今後メタネーションプラントを造る意思決定をしないといけませんが、国の支援があるかどうか、あるいは二国間ルールがどうなるかが関係してきます。

 e-メタンを社会実装していくときには、国などにある程度の負担をしていただきたい。キャペックス(資本的支出)もオペックス(運用維持費)も両方です。特に値差支援が大きい。どう考えても今の都市ガスの3~4倍の製造コストになりますので。

 e-メタンを作る国と日本との二国間ルール作りも重要です。「CO2削減効果は日本に持って行って」という国もある。そうではない国、そういう交渉さえしていない国もある。そういったところを23年の終わりから24年度にかけて決めていく。その動きを見て、投資判断していくことになります。

次ページでは、藤原社長がe-メタンの未来図で鍵を握るサプライチェーン戦略を明らかにする。また、新電力大手として電力事業の一手を語る。