大手電力8社が急転直下の過去最高益で「新電力が恐れる」関西電と中部電の仕掛けとは?関西電力の森望社長。同社は第2四半期でも、通期見通しでも過去最高益 Photo:Kyodonews

関西電力、中部電力など大手電力8社が2024年3月期第2四半期決算で過去最高益をたたき出した。通期業績見通しも絶好調で、ほぼすべての大手電力が最終赤字に沈んだ地獄絵図の前期から一転、バブルの様相だ。これを受けて戦々恐々としているのは、ライバルの新電力勢だ。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、電気料金値上げだけではない大手電力の絶好調決算の要因に加え、新電力が恐れおののくシナリオを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

関電、中部電、東北電など
大手電力が過去最高益

 大手電力10社中、8社が2024年3月期第2四半期決算で過去最高益をたたき出した。

 具体的には関西電力、中部電力、東北電力、九州電力、中国電力、北海道電力、北陸電力、四国電力が過去最高益。東京電力ホールディングスも、経常損益ベースでは過去最高益だった。

 ほとんどの社の通期業績の見通しも絶好調。ほぼすべての大手電力が大幅な最終赤字に沈んだ前期に比べると、地獄絵図から一転、まさにバブルなのである。

 大手電力は今期、相次ぎ電気料金の値上げに踏み切った。だが、大手電力の業績好調の理由はそれだけではない。次ページでは、大手電力の業績が急回復したからくりを明らかにする。また、中東情勢の緊迫化などリスク含みの下期業績の見通しも占う。そして、大手電力の復活に戦々恐々としているのは大手電力の競合である新電力勢だ。どういうことか。