同社は3月、グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、ラクスルの3社を引受先とした第三者割当投資、そしてみずほ銀行からの融資による総額15億円の資金調達を発表した。この調達により累計調達は22億円となった。
リネットは2019年5月の時点で35万人のユーザーに利用され、黒字化を達成している。だがウェブ調査を行ったところ、認知度はわずか5.7パーセント。より認知を広げて「本当の意味で世界を変えていきたい」(井下氏)という思いから、資金調達に踏み切った。
調達した資金をもとに、ホワイトプラスではテレビコマーシャルを含むマーケティング施策により、リネットの認知を高めていく。顧客体験を向上させるために、開発も急ピッチで進めるとしている。
また、iOS版アプリの機能強化も進める。現状、アプリ経由では衣類のクリーニングしか利用できないが、布団や靴のクリーニング、保管サービスなど他のサービスについても利用できるようにする。Android版についてはアプリのフルリニューアルを準備中だ。
宅配クリーニングサービスを提供する競合は少なからず存在するが、リネットは月に2回以上利用するヘビーユーザーを多く抱えていることが強みだ。
ホワイトプラスの広報担当者は、他社の宅配サービスは「10点パックで○○円」といった従量制のものが多いため、衣替えの時期など、ある程度まとめてクリーニングする際に使われると説明。一方、リネットでは1点からでも注文を受け付けているため、日常的に使うリピーターが多く、月に2回以上利用するヘビーユーザーも複数存在しているという。これも、検品を含む全工程をネットに最適化させることで、多数のユーザーが少量で利用しても対応することが可能となっているからだ。
「事業を立ち上げてから10年以上がたつが、同じようなビジネスモデルを展開する競合はまだ存在していない。真似できないと思う、大変だから(笑)」(井下氏)