買い手、売り手が希望の価格を指定できる「板寄せ方式」を採用

 モノカブはスニーカーに特化したCtoCプラットフォーム。販売できるスニーカーは購入済みの新品のみ。中古品の販売は禁止している。

 売買には、購入者と出品者の双方が希望の価格を指定できる「板寄せ方式」を採用している。購入したいスニーカーが出品されている場合、出品者の希望する価格で入札すれば、すぐに売買が成立する。だが現在の価格が高いと感じた場合、購入者は希望の価格を指定して入札できる。その後、新たな出品者が入札価格以下で商品を出品すれば、その値段で売買が成立する。

 出品者は自分が販売したい金額を指定してスニーカーを出品する。もし高額で販売したい場合、希望の値段を指定して、落札を待つこともできる(筆者注:証券取引における「板寄せ方式」は、全ての売り注文と買い注文を記載し、数量的に合致する「約定価格」を決定している。モノカブでは売り希望者の中で最も安い指値額を「購入価格」、買い希望者の中で最も高い指値額を「販売価格」として板寄せ方式と呼んでいる)。

板寄せのイメージ(ブライノのプレスリリースより)板寄せのイメージ(ブライノのプレスリリースより)
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 エスクローサービスを採用しており、購入時のやり取りはモノカブが仲介するため、売り手と買い手が直接連絡を取ったり、個人情報を伝えあったりする必要はない。

 取引が成立したスニーカーはモノカブが鑑定。偽造品でないことが確認できれば、専用のタグを取り付けた上で購入者に送付する。入札や出品、鑑定の手数料は現在無料だ。

 現在ユーザーの約9割が男性で、年齢は18~40歳が中心。出品者の中には、人気スニーカーの抽選販売に当選したものの、自分の足に合ったサイズのものが売り切れていたため、やむなく別のサイズのスニーカーを購入したという人も多いという。売上をもとに、あらためて目当てのサイズのスニーカーを買うのだ。

 2018年5月にベータ版としてサービスをオープン。口コミやSNSで徐々に知名度を上げていった。11月に正式版をローンチしてからは、毎月平均40%のペースでユーザー数を増やしている。2019年5月には、ベンチャーキャピタルのW venturesやTLM、個人投資家でゲームエイト代表取締役の西尾健太郎氏、HEROZの伊藤久史氏から約5000万円の資金調達を実施した。

「モノの株式化」で不平等を解消

 ブライノ代表取締の濱田航平氏は、27歳で起業した。新卒で証券会社に勤めていた濱田氏が目指すのは、「株取引の仕組みを一般的な商売に転用するサービス」だという。

「『モノカブ』というサービス名は、『モノの株式化』に由来しています。一般的な買い物の場合、買い手は売り手が一方的に決めた値段に従うことがほとんど。一方、株取引では売り希望者と買い希望者がともに『指値』で注文します。この仕組みを上手く使えば、不平等を解消できると考えたんです」