モノカブでは前述のとおり、出品者から送られてくるスニーカーのすべてを鑑定し、本物だと判断したスニーカーだけにタグを付けた上で購入者に発送している。鑑定が間違っていた際の補償も行う。同様の鑑定はStockXでも行っている。
エスクローで同社に送られてきたスニーカーを、社内の鑑定士がチェック。独自に蓄積したデータをもとに、スニーカー本体や箱などさまざまな部分を確認する。濱田氏によると、偽造品も日々アップデートされており、中には「PK GOD」とファンの間で呼ばれる、精巧な偽造品もあるという。
モノカブの鑑定精度はファンの間でも高評価。メルカリなどのフリマアプリで販売されるスニーカーの中には、偽造品でないことを示すためにモノカブのタグが添付されていることもあるそうだ。
「定価」という概念をなくしたい
モノカブでは今後、サービスを充実させながら、徐々に有料化を進めるという。
「全ての取引に手数料を導入せずにオプションとして高精度の鑑定を追加するなど、収益化の方法も慎重に検討しています。また、今後は時計やアパレル、高級バッグやワインなど、取り扱う品目も増やしたいと考えています」
長期的な施策としては、ビジョンの「モノの株式化」を進めていく。その一案として濱田氏は、「定価の撤廃」を目指すという。
「いま構想しているのは、『モノの上場』というアイデア。予め購入希望者に理想の値段をオファーしてもらうことで、販売前から市場の需要をもとに値段を決定するんです。『ギャザリング(共同購入)』に近い発想ですが、こうした仕組みが成立すれば、定価という概念は不要になりますよね。理想はあらゆる売買に板寄せを導入すること。売り手の都合で決められた値段に従うばかりでなく、誰もが当たり前のように値段交渉を持ちかけることができる世界を作りたい」