スピード重視、普及重視の印象が強いが、ソフトウェアの開発には余念がなく、技術面のフォローも欠かさない。

「技術面は、普及後に生きてくるものだと思っています。普及してから安全面が問題になるケースは多いですよね。だからこそ、創業時に独自のサーバー認証型システムを開発しており、あらかじめ対策済みです」(江尻社長)

鍵から変えていくシェアリングエコノミーの未来

 ビットキーは今後の展開として、空間を利用したシェアリングエコノミーの改革も視野に入れている。

宅配クライシスの救世主は、アマゾンではなく「鍵ビジネス」かもしれないスマートロックを設置する様子(提供:ビットキー)

「近年台頭しているUberやAirbnbなどのシェアリングエコノミーの特徴は、選択や登録はスマホ操作などでバーチャルに行われ、利用自体はリアルであること。リアルなサービスの場合、提供時にどうしても本人認証や鍵の受け渡しなど人同士のやり取りが必要になり、手間やコストがかかってきます。スマートロックが普及すれば、『誰が』『どこまで』入るかをセキュアに管理した上で、鍵の受け渡しをデジタル上で実施できるので、人を介在させなくて済むようになる。現状のシェアサービスをさらに一段階、便利にできると考えています」(江尻社長)

 スタートアップの定石を無視して突き進むビットキー。消費者の心理的な抵抗に打ち勝ち、鍵業界からの革命児へと進化する野望は叶うのか。