ここで角氏が引き合いに出すのが、不動産版「GAFA」ともいわれる巨大テック企業の総称「ZORC」だ。これは米国の不動産テック企業Zillow、Opendoor、Redfin、Compassの4社を指す言葉で、すむたす買取のビジネスモデルもOpendoorを参考に設計されている。この4社に共通しているのが、「テックとリアルビジネスの融合」だと角氏は説明する。
「2000年代の米国では不動産ポータルなどのネットで完結するマーケットプレイス事業が猛威を振るっていましたが、2010年以降はAIを活用して実際に物件を買い取るOpendoorなど、テクノロジーと実際の不動産を扱った事業が急成長しています。日本でも一時期はあらゆる業界でITベンチャーによるマッチングサイトが乱立しましたが、すでにそれだけでは業界に大きな影響を与えることはできないはずです」(角氏)
彼らがすむたす直販を開始したのも、こうした潮流にならってのことだ。すむたす直販では、年内に掲載物件数300件、参画企業数30社、自社物件の販売数20件を目指す。その後は首都圏外の物件を取り扱うほか、戸建てや土地など対応物件の拡大も視野に入れているという。
また、角氏は日本の不動産業界が抱える「空き家問題」も、欧米のトレンドを取り入れることで解消しうると考えている。
「現在、日本で深刻な問題になっている空き家の増加は、日本の中古物件流通数が全体のうち約15%と非常に少ないことが原因の一つではないでしょうか。一方、米国は中古物件の流通率が全体のうち約90%を占めています。こうした業界の不動産マーケットを参考にすれば、日本でも中古物件の流通が増えていくのではないでしょうか」(角氏)