登録者集めには強力な学生ネットワークを活用
登録者集めには、学生ならではのネットワークを活用している。
「全国各地にインターン生がいて、彼らが自分の大学でLabBaseを広めてセミナーを開催しています。地方にいながらインターンが経験でき、給与も出るため、学生のモチベーションも高い。また、大学に協力してもらって、企業と学生をつなげる勉強会も開催しています」(加茂社長)
加茂社長は、理系学生の採用に関して「(売り手市場は)しばらく続く」と確信している。
「テクノロジー人材の獲得競争は一層激しくなるでしょう。完全な通年採用になることを見越して、早いタイミングから企業が学生に声掛けできるような仕組みになっています。学生も、早めに内定がもらえた方が研究に時間を割けるので嬉しいようです」(加茂社長)
博士を検索できるデータベース
もうひとつ、2019年3月から始まった事業が、研究者プラットフォーム「LabBase X」だ。産学連携を加速させ、大学に眠っている技術を社会に還元していくことを目指したサービスだと説明する。
「研究室では、社会を変えるイノベーションの種がたくさん生まれています。しかし、企業が産学連携を目指しても、もともとコネクションのある教授としか連携できません。研究室がブラックボックス化しているせいです」(加茂社長)
各大学が研究者のデータベースを保持してはいるものの、大学ごとで分断されていた。そのため企業側は、「(ある特定分野の)研究をしている先生はどこの大学にいるのか」を知りたいにもかかわらず、大学を横断して検索ができなかった。そこでPOLは、全国の大学で研究をする博士人材400人が登録する研究者データベースのプラットフォームを作ったのだ。
「学生100人がオフラインで研究室に声掛けすることで、研究者の独自データを入れることができました。また、クラウドソーシング機能もあります。企業が調査や技術的な相談を登録している博士に募るんです。R&Dコンサルのイメージです」(加茂社長)
博士にとってのメリットも大きい。自身の研究を社会で活用でき、同時に企業から報酬がもらえるからだ。昨今、博士号を取得しながら正規ポストに就けない任期付き研究者が増えている「ポスドク」問題が深刻視されており、深夜にコンビニバイトをするなど金銭的に苦しい研究者も多い。
次のユーグレナを生み出すプラットフォームに
今回実施した資金調達は、マーケティングと人材投資に使用する。特に、課題を抱えている優秀な研究者に認知・信頼してもらうことが課題だ。