米良 はい。人はクラウドファンディングに何を求めているのだろう、と改めて考えてみると、誰かを応援することで、自分も必要とされているという承認が得られることに意味があるんだと気付きました。
「READYFOR」の応援は寄付と投資の中間ライン
徳力 そうした価値観が分からない人に、こういう世界観を理解してもらうためには、どうすればいいのでしょうか。これはある意味パラレルワールドの構造になっていて、従来の方法でそれなりに上手くいっている人は、その状態に課題があると感じられないですよね。
本当はソーシャルメディアやクラウドファンディングといったネットワークを使えば、もっとプロジェクトがうまく進む可能性があるにもかかわらず。
米良 うーん、何でしょう。回答になっているかは分かりませんが、私たちはチャレンジする人が増えてほしいと思う一方で、パーパスがある人は、そんなに多くいないということも分かっています。
そこで、応援する側の人がもっと増えて、応援するという行為が浸透していけばいいなと思っているんです。日本は寄付が少ないと言われますが、おそらくクラウドファンディングで起きていることは、今まで私たちが寄付だと定義してきたことと少し違うはずです。私は「READYFOR」での応援は、寄付と投資の中間ラインにあるものだと捉えています。
徳力 お金を出す側も救われる面があるということですか。
米良 その通りです。基本的に、すべてのお金の流れには対価性が設定されているはずで、支援した人が得られる、貢献したという感覚やコミュニティに参加しているという感覚が大事だと思います。
徳力 それは、企業にとっていいヒントになりそうです。
米良 今後、企業はスペックや価格での勝負ではなく、付加価値で利益を上げていくモデルを目指すとすると、商品を購入したという体験以上の価値をお客さまに感じてもらう必要があります。そこに、クラウドファンディングが役立つと思っています。
徳力 そうですね。企業に役立つ視点をたくさんもらえました。米良さん、ありがとうございました。