「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第3弾は「新しいビジネスを創る業界」として、「IT業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)
売り手市場で
日系企業の待遇向上
人手不足に悩む企業にとって、デジタル化による業務効率の向上は必須課題だ。IT投資に積極的な会社も多く、IT企業には仕事が安定して入ってくる。「キャリアアドバイザーでもある私が子どもに就職を勧めるならIT業界は候補の一つだ」と、リクルートエージェントの丹野俊彦氏は話す。
昔は長時間労働のイメージがあったが、今や月平均の総実労働時間は他産業の平均時間よりも少ない。労働環境はかなり改善された。
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一方で、人材獲得競争は激しい。少し前は、米国でのシリコンバレーバンクの経営破綻などにより、外資系IT企業は採用を控え、日系企業が採用しやすい環境だった。
しかし、ここ最近は外資系の採用意欲が復活し、高収入が望める外資系の人気が再び高まっている。
そのため、日系企業でも給与体系の見直しが進んでいる。例えば、システムエンジニアがリスキリングによりデータサイエンティストなどの先端IT従事者になれば、年収1000万円以上も狙える。
プログラミングの知識がなくてもソフトウエアを開発できるアプリケーションも増え、文系・理系の垣根は低くなった。とはいえ、先端IT従事者は統計学など理系的な素養が求められるため、理系の方が年収は上がりやすい傾向がある。今後は生成AI(人工知能)に的確な指示を出せるプロンプトエンジニアなどトレンドを押さえた技術者が重宝されそうだ。