決戦!洋上風力第2ラウンドPhoto by Ryo Horiuchi

政府公募の洋上風力発電プロジェクトコンペ「第2ラウンド」の選定結果が、ついに公表された。JERA、ドイツエネルギー大手のRWE、住友商事の3陣営が勝利を収め、2エリアでは有利とされる先行事業者が敗れる波乱となった。連載『決戦!洋上風力第2ラウンド』では、第2ラウンドの秋田県沖、新潟県沖、長崎県沖の計3エリアについて、業界関係者への徹底取材に基づき、参戦した全9陣営の実名を網羅した勝敗結果を大公開。各エリアの勝敗を分けたポイントも徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

敗者となった先行事業者は
筆舌に尽くし難い落胆ぶり

 政府公募の洋上風力発電プロジェクトコンペ「第2ラウンド」の選定結果は当初、2023年末の発表を予定していた。ところが、岸田政権を直撃した自民党・安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で、西村康稔経済産業相が12月14日に交代することとなり、辞任前に急遽結果を公表する運びとなった。第2ラウンドに参戦した事業者には、一足早い「クリスマスプレゼント」が贈られた格好となった。

 政府は、第2ラウンドの選定結果を公表する1時間前の12月13日午後4時過ぎ頃から、応札した各事業者に対し、選定結果を伝えた。第2ラウンドに詳しい業界関係者によると、「失注」の知らせを受け取ったある先行事業者の幹部の落胆ぶりは、筆舌に尽くし難いものだったという。

 今回、選定結果が公表されたのは、第2ラウンドで対象となった4エリアのうち、秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖、新潟県村上市・胎内市沖、長崎県西海市沖の3エリアである。

 秋田県沖はJERA、伊藤忠商事、東北電力、J‐POWER陣営、新潟県沖はドイツエネルギー大手のRWE、三井物産、大阪ガス陣営、長崎県沖は住友商事、東京電力リニューアブルパワー(RP)陣営が、それぞれ勝利した。

「三菱商事が総取りした第1ラウンド以降、総取りできないようにルール変更したのが奏功したのか、政府の思惑通りにバラけましたね」。ある大手電力会社の幹部は、選定結果を見てそう感想を漏らした。

 それでは早速、次ページでは、洋上風力第2ラウンドに参戦した事業者の実名入りの勝敗結果をつまびらかにする。政府が公表した選定結果は、各エリアの勝者を除いて匿名としているが、業界関係者への徹底取材を基に全9陣営を明らかにする。また、各エリアの勝敗を分けたポイントも徹底解説する。さらに、「勝てば官軍」ではあるが、第2ラウンドの勝者を待ち受ける、いばらの道も解き明かす。