【スクープ】JERAが洋上風力コンペ第2弾で禁断の提携策!「最強」布陣に選んだ2社の実名Photo by Ryo Horiuchi

政府による洋上風力発電プロジェクトコンペ第2弾の公募が始まり、ライバル同士が水面下で激しいつばぜり合いを繰り広げている。そんな中、国内最大の発電事業者であるJERAが、必勝に向けて驚愕の電撃提携に踏み切る方針であることが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。連載『決戦!洋上風力第2ラウンド』では、JERAが“禁じ手”ともいえる提携に踏み切らざるを得ない裏事情を解説するとともに、提携相手である2社の実名も明らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

第2ラウンドも落とせば
再エネ成長戦略に黄信号

「まさか…。JERAにプライドも何もあったもんじゃない」

 秋田、新潟、長崎の3県4エリアを対象に実施される政府公募の洋上風力発電プロジェクト第2弾コンペ(以下、第2ラウンド)。第2ラウンドに参戦するエネルギー企業のある幹部は、最大のライバルJERAが“禁じ手”ともいえる提携策を水面下で進めていることに驚きを隠せなかった。

 東京電力ホールディングスと中部電力の合弁会社であるJERAは、国内最大の発電事業者として圧倒的な存在感を放つ。しかし国内の再生可能エネルギーの分野では後発組だ。

 JERAが、再エネでも国内トップの座を奪取すべく、中期経営ビジョンで掲げたのが、2025年度までに5GWの再エネを開発するという目標だ。これは原子力発電所約5基分に当たる発電容量で、国内トップクラスの規模だ。そして、再エネ開発の柱に据えられたのが、洋上風力発電だった。

 JERAにとって大型再エネ案件の最初のチャンスは21年12月に訪れた。秋田県の2エリアと千葉県の1エリアを対象に政府公募の洋上風力発電プロジェクト第1弾コンペ(以下、第1ラウンド)が実施されたのだ。

 JERAは大手電力会社のJ-POWER、北欧最大のエネルギー会社エクイノールとの超大型コンソーシアムを組んで第1ラウンドに参戦。少なくとも秋田県の1エリアのプロジェクトを獲得する目算だった。

 しかし、JERAの前に大きく立ちはだかったのが、三菱商事だった。三菱商事は圧倒的な価格破壊によって第1ラウンドを“総取り”。JERAは出はなを大きくくじかれた。

 そんな中で迎えた第2ラウンド。もし、四つのうちのどのエリアも獲得できなければ、JERAが描いた再エネでもトップ事業者になるとのシナリオは完全に瓦解する。つまり、JERAにとって第2ラウンドは絶対に負けられない戦いであり、だからこそ、“禁じ手”ともいえる驚きの提携策に踏み切ろうとしているのだ。

 では、JERAが第2ラウンドの必勝に向けて手を組む、提携相手とは一体どこなのか。提携先に浮上している2社の実名と共に、参戦エリアを明らかにする。

 実は、JERAが今回の提携相手を選んだ背景にあるのが、競争環境の激変だ。背水の陣となる第2ラウンドでJERAが禁じ手に踏み切った裏事情についても解説する。