海上の風力タービンPhoto:timandtim/gettyimages

政府公募の洋上風力発電プロジェクト第2弾の新潟県沖では、大手ゼネコンが直接相まみえる。第1弾コンペで惨敗を喫し、背水の陣となる大林組は強力なパートナーを引き連れて決戦に臨む一方、初参戦となるライバルの大成建設は、さらなる超大物“助っ人”を引っ張り出した。連載『決戦!洋上風力第2ラウンド』では、超大物助っ人の実名を明かす。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

大林組トップ肝煎りの洋上風力発電
秋田北部での第1ラウンドは惨敗

 2021年12月24日夕、ゼネコン大手の大林組に届けられた“クリスマスプレゼント”は、全く予想だにしない最悪のニュースだった。

 秋田県三種町、能代市、男鹿市沖の洋上風力発電プロジェクトを巡る政府公募の第1弾コンペ(以下、第1ラウンド)。先行事業者として下馬評では優勢だった大林組は、圧倒的な価格破壊力を見せつけた三菱商事に惨敗した。

 しかも、第1ラウンドで応札した5事業者の中で、大林組はなんと「ビリ」。「箸にも棒にもかからないじゃないか」。大林組関係者は第1ラウンドの結果にそう肩を落とした。

 そもそも大林組にとって洋上風力発電は、蓮輪賢治社長肝煎りのプロジェクトである。

 同社は蓮輪氏前任の白石達氏が社長だった2014年に次世代の成長事業を育てるべく、洋上風力発電を含む新規事業を管轄するテクノ事業創成本部を新設した。その時のテクノ事業創成本部長が、現社長の蓮輪氏である。蓮輪氏は、秋田県三種町、能代市、男鹿市沖の洋上風力発電プロジェクトでも直々に陣頭指揮を執ってきた。

 大林組は同エリアで16年に事業化に向けた環境アセスメントに着手し、地元自治体や漁業関係者に接触して有力者を取り込んできた。しかし、その努力も虚しく、後発の三菱商事に苦杯を舐めることになったのだ。

 大林組にとって洋上風力発電事業は、次世代の成長事業に位置付けられ、しかも社長肝煎りである。たった一度の敗北で白旗を上げるわけにはいかないだろう。

 そして、大林組が雪辱を期す舞台として選んだのが、政府公募の第2弾コンペ(以下、第2ラウンド)の対象となる新潟県村上市、胎内市沖(以下、村上胎内)の洋上風力発電プロジェクトだ。このエリアでは、ゼネコン大手の大成建設を中心とするコンソーシアムなどが先行事業者として待ち受けている。

 背水の陣ともいえる大林組は、必勝に向けて強力なパートナーを得た。第2ラウンドの情勢に詳しいエネルギー業界関係者によれば、大林組は豊田通商の子会社で国内最大級の再生可能エネルギー専業会社、ユーラスエナジーホールディングスとコンソーシアムを組んで臨む見通しだ。大林組にとっては申し分のない連携相手である。

 これに対し、第2ラウンドが初陣となる大成建設は、なんと大林組のパートナーを上回る超大物助っ人を引っ張り込んだのだ。万全の必勝体制を敷いた格好となる。

 では、超大物助っ人の正体とは。次ページでは、大成建設の超大物助っ人の実名を明らかにする。実は、大成建設陣営にはせ参じた超大物助っ人も、第2ラウンドでは絶対に負けられない深刻な事情を抱えている。超大物助っ人が大成建設に組した思惑もつまびらかにする。