2023.10.25 所得減税「2つの反対論」は正しいのか、“生煮え”財政論議に欠ける視点 岸田首相が表明した「所得減税」に対する財政再建重視とインフレ警戒からの反対論は従来の発想から抜け出ていない。供給ショックへの備えが重要になり、また家計のインフレ期待が上昇している中でこれらに焦点を絞ったものにしないと反対論は上滑り…
2023.8.30 米長期金利4.3%超、昨秋の上昇パターンと違うピーク更新の「主役」 米国では長期金利が4.3%を超え昨年秋のピークを超えたが、昨秋と違い市場の関心は自然利子率(r* )や中立金利の上昇の予想が中心だ。仮に水準が上昇しているとしたら長期金利の水準感も変わり、為替相場や日銀の政策運営への影響も大きい。
2023.6.28 市場惑わす「YCC修正」と「米景気後退」、日米2つの“逃げ水現象”の行方 日銀がYCC修正に踏み出すという市場の予想は6月の金融政策決定会合でも裏切られる一方、米国では景気後退に入るとの予想が後ずれし続けている。日米で異なる「逃げ水」現象だが、YCC修正は米国景気が鍵となることは間違いない。
2023.4.26 金利や世界経済はコロナ収束で「元の姿」まで戻るのか?中央銀行が注視すべき課題 IMFはコロナ収束後も自然利子率は世界金融危機で下方屈折した低い水準で推移すると分析するが、労働力不足などへの対応で投資が活発化し「長期停滞」時とは違っている。低いままの自然利子率を前提にした金融政策でいいのか、注意が必要だ。
2023.3.1 「植田日銀」政策修正の鍵握る、長期国債購入政策の3つの論点 「植田日銀新総裁」の金融政策で最大のイシューは長期国債購入政策だ。長期金利低下のプラス効果と国債市場の機能低下や資源配分のゆがみなどの功罪についてマクロの視点での議論が重要だ。
2022.12.21 米利上げ減速で目立つFRBと市場の乖離、「金融危機後の10年」に回帰するのか 米FRBの利上げ減速に将来の利下げを織り込んで長短金利の逆ザヤが進む。市場は「金融危機後の10年」のように「ディスインフレの認識」が再燃した形だが、コロナ危機を「インフレトレンドへの転換」の契機とする見方もあり、金融政策運営は難しいか…
2022.11.9 日本国債市場「機能不全」の異常、英国債暴落“トラス・ショック”は他人事ではない 英トラス前政権は大規模減税策が国債暴落を招き崩壊したが、日銀の異次元緩和が約10年続いている日本国債の市場も正しいシグナルを発し得る状況とは思えず、政治が判断を間違うリスクがあることには注意が必要だ。
2022.8.10 「FRBvsサマーズ論争」白熱、米景気は“ソフトランディング”できるのか 失業率の大幅上昇を回避しながらインフレ抑制が可能と利上げを加速するFRBと景気の「ハード・ランディング」を懸念するサマーズ元財務長官らの論争が白熱する。鍵は労働供給が回復するかどうかだが、直近では事態は悪化している。
2022.6.15 1ドル135円まで円安加速、「良い円安・悪い円安」論より重要な政策コストの吟味 円安を止めるために日本ができるのは財政出動と同時に日銀が低利政策をやめて金利上昇を促すしかない。重要なのは「良い円安、悪い円安」ではなく、その「政策コスト」を払うことが正しいのかを十分に議論することだ。
2022.4.13 コロナ禍の「MMTの大実験」で得られた財政金融政策の教訓 コロナ対策でMMTを地で行く財政拡張政策が続けられ、マネーサプライは急増し物価も上がった。貨幣供給や物価のコントロールは中央銀行の役割とされてきたが、政府と中銀が共同で担う考え方が大事だ。
2022.3.11 ウクライナ侵攻で金融市場混沌、中央銀行「4つの判断基準」に揺らぎ 経済のパフォーマンスを反映して動くとされる長期金利だが、実際は中央銀行の行動を予測して変動する側面が強まっている。中銀自身の判断基準が揺らぎ市場は中銀の動きを注視するしかないからだ。
2021.12.24 「新しい資本主義」への期待と批判がかみ合わない根本原因 賃上げ税制などの政策減税による「人工的な成長」では成長も分配も限界があり、期待するほどの効果は難しい。目指すべきは「自律的な成長」を達成することによる成長と分配の好循環だ。
2021.10.6 岸田新政権の「統治と分配」は短命の橋本型か、長寿の小泉or安倍型か 岸田政権は「官邸主導」を修正しているように見え、分配政策もこれまでの政権とは違う「現在世代の中での分配」を志向するが、低成長下では新たな統治スタイルが機能しないと、政府債務が拡大するだけになる懸念がある。
2021.7.22 日本が喪失した経済政策の「バランサー」、コロナ後の危うい“副作用” コロナ対策での巨額財政支出はやむを得ない面もあるが、日本では金融危機以来、財政支出の規模感のマヒが起きている。経済政策の「バランサー」がいなくなった危うさを認識する必要がある。
2021.5.10 市場がコロナ後に「インフレ加速はない」と見切る理由やその盲点 市場はコロナ後もインフレは加速しないと見切っており、長期金利上昇も限られる。先進国では潜在成長率が鈍化しているからだが、財政拡張によるマネーストックの急増がどう影響するのかは読めない。
2019.9.6 日本が「主流派経済学の実験場」となった経緯を解き明かした衝撃の1冊とは 経済学がどのように日本の金融政策に「悪影響」を与えてきたのかを、当代随一のアナリストが経済学の源流から直近の金融政策までをつぶさに追い、解き明かした『経済学はどのように世界を歪めたのか』。同書の読書ガイドとして、「プロローグ」を一…