11月の消費関連物価上昇率は2.6%に低下
FRBの「2%目標」接近が視野に
クリスマスシーズン最中のニューヨークは買い物や観光で人がにぎわう。
年末恒例のバレエ観劇やミュージカル、クリスマスイベントは連日満席で、多くの人がエンターテインメントを楽しむ状況を目の当たりにすると、市場などで聞こえてくる2024年の米国経済減速の懸念とは少し乖離(かいり)があるように感じる。
もちろん、ニューヨークが全米平均の経済の姿を表すわけではない。所得水準が平均的に低い州や地域ではインフレや金利高が生活を苦しめる地域も多い。ただ直近、公表された物価や雇用の状況を示す指標などからも、実体経済はこれまでのところ、FRB(米連邦準備制度理事会)が目指す軟着陸路線で順調に進んでいるといえる。
それを象徴するのが、FRBが重視する、消費関連品目の物価上昇圧力を測る個人消費支出(PCE)デフレーターが11月は前月から伸び率が0.1%低下に転じたことだ。PCE総合指数が前月から低下に転じるのは20年5月以来のことだ。総合指数の前年同月比は2.6%増と、いよいよFRBが掲げる「2%目標」への接近が視野に入ってきた。
景気軟着陸の今後の鍵を握る労働市場や賃金についても、現状は順調に推移しているといっていい。