習い事で「子どもの強みを伸ばせる親」と「伸ばせない親」の差とは?【教育専門家が解説】Photo:PIXTA

子どもの習い事選びに悩む親は多いもの。「子どもの強みを伸ばせる親」と「伸ばせない親」には違いがある――そう語るのは、日米で学習塾を経営し25年間で延べ5000名以上のバイリンガルを育成しているTLC for Kids代表の船津徹氏。「こんなにも具体的で内容が詰まっているものは初めて!」「目からウロコ」と子育て世代に話題の新刊『「強み」を生み出す育て方』の中から、【習い事選びで成功する親の「考え方」】をお届けする。

習い事成功のカギは「スキマ狙い」にある!

 子どもが習い事を始める時、その分野で「花形」になってもらいたい!と多くの親が期待します。野球であればピッチャー、サッカーであればフォワード、オーケストラであればバイオリン、吹奏楽であればトランペットというイメージです。

 抜きんでた才能がある子や、身体的素質に恵まれている子でしたら、花形狙いもありでしょう。でも、ごく普通の才能の持ち主の子の場合、「スキマ狙い」に切り替えると、その習い事で成功できる確率がグンと高まります!

 サッカーチームでは、どの子も目立つポジションにつきたいと考えます。自分の素質や才能とは無関係に、カッコいいからというのが理由です。だからフォワードやミッドフィールダーなど、点に絡むポジションは子どもたちに大人気です。

 しかし、同時に相手の攻撃を守るディフェンダーやゴールキーパーのような「地味な」ポジションもチームの勝利には欠かせません。むしろ、勝敗を決定づけるのはディフェンス力だったりします。でも最初から「キーパーをやりたい!」という子どもはほとんどいないのです。

 音楽を始める時も、多くの子どもがバイオリンやフルートやクラリネットなどをやりたがります。でもオーケストラはバイオリンやフルートだけでは作れません。ビオラ、チェロ、コントラバス、ファゴット、パーカッションを演奏する人が必要です。調和の取れた美しい音楽を作る上で、これらの楽器は欠かせません。

長く続けられる「ピッタリの習い事」を選ぼう

 子どもの習い事の目的は、プロにすることではありません。長く続けて「強み」に引き上げることが第一のゴールです。その分野で自分の特性を活かせるポジションを狙い、長く続けて一定以上の成功を収めることが重要なのです。親が目的を見失ってしまうと、子どもの強みを十分に伸ばせません

 ごく普通の能力の子どもが、トップレベルを目指すのであれば、花形狙いから「スキマ狙い」へと戦略を変えることを考えてみましょう。子どもの気質と素質を十分に活かせる習い事があるように、その習い事の中で子どもに合ったポジションがあるはずです。

 大リーグで活躍したイチロー選手も「1番でライト」です。左打ちが得意で、足が速いという「強み」を最大限に活かしたからこそ、メジャーリーグでも長くトップ選手として活躍できたのです。もしイチロー選手がピッチャーで4番を目指していたら、大リーグで18年間も活躍できていなかったかもしれません。

 多くの場合、子どもは自分で自分の「特性」に気づくことはできません。親が子どもの良い部分を見つけて、「あなたはこれに向いているよ」「ここがすごいんだよ」と教えてあげてください。子どもが自分の「特性」を意識し、その部分を伸ばすことに集中すると、速いスピードで「強み」へとレベルアップできます!

「わが子にピッタリの習い事を見つけたい!」という方のために、著書『「強み」を生み出す育て方』ではオリジナル診断を掲載しています。気質×才能の25タイプ別診断で「わが子にベストマッチの習い事」がカンタンに分かります!

「こんな習い事が合っていたなんて!」とお子さんの意外な強みを再発見できるかもしれません。

子ども時代の「強み」は一生の武器になる

習い事で「子どもの強みを伸ばせる親」と「伸ばせない親」の差とは?【教育専門家が解説】「強み」を生み出す育て方』 (船津徹・ダイヤモンド社)定価:1980円(税込)

 子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?

 たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。

 つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのですが、習い事は強みを育てる最高のチャンスになります!だから習い事選びは「子育て成功」に直結するのです。