そう尋ねると、多くの人は自分がどう指示を出しているのか、「あまり考えていない」とお答えになります。どんな業務においても、指示出しは指導・教育の始点であるはずなのに、深く意識できていないのは非常にもったいないことですね。

 ここでは、私の考える指示出しのコツをお教えします。

 それは、最初に伝えることを3つまでにし、簡潔に伝えるといういたってシンプルなこと。クライアントに提案する企画書をつくる際の指示出しを例に考えてみましょう。

「明日は10時にA社に訪問か。企画書がいるなぁ。あそこは派手な企画が好きだから、ぱっと目を引くようなやつを頼むよ。たしか、前はホールを貸し切ってのイベントが好評だったような気がするなぁ。あと、ライバルのB社の後追いは嫌がるから気を付けて。そうそう、明日先方は3人だと思うよ」。

 皆さん、こんな指示出しをしていませんか。

 そもそもこの指示出しは「企画書をつくり、持参するためにプリントアウトをする」ということを一度も明確にしていません。

 もちろんベテランになれば、このような指示で“察する”ことができるでしょうが、新入社員や若手社員にはそこまでの理解力はありません。

 この指示出しを、私がする場合はこうです。

「明日A社に提案する企画書をつくってほしい。〇○ホールを使う、500名程度の大型企画にしてください。先方3名分の資料をあらかじめ印刷し、製本するところまでお願いします」。

 このフレーズにはやってほしいことと、そのゴールが明確に入っています。そして、“派手さ具合”は個人の主観で判断しがちなので、私(つまり上司側)が思っているレベル感を明確に伝えています。

 このような指示出しであれば、Z世代の若者たちは、何をすべきなのか、何が求められているのかを理解することができるでしょう。

 また、最初に伝えるのは3つまでとしているのは、指示を受けた側が適切に意識、理解できる範囲であり、ゴールが見えやすいからです。

 一度にたくさんのことを言われて混乱するのは、誰でも同じ。特に経験のない若手世代には、大きな負担になります。