能登地震のサプライチェーン影響、700社に緊急調査!「絶望的不足」に拍車がかかるモノとは?Photo:PIXTA

緊急でサプライチェーン関係者、約700人に能登半島地震の影響をヒアリングした。深刻な回答を寄せたのが、大手建設業2社。複数の関係者から聞いた「建設用電線の絶望的不足~6つの証言~」を紹介し、対応策を考える。(未来調達研究所 坂口孝則)

能登地震の影響を700社に緊急調査

 振り返れば2023年の初頭、大手電線メーカーの関係者と話をする機会があった。「需要はさほど増えていないし、値上げしようにもなかなか…。顧客が価格転嫁を許してくれるかどうか苦しいところ。何とか無事に年を乗り越えたい」とこぼしていた。

 それからわずか数カ月後、別のサプライチェーン関係者から「異常事態」とメールをもらった。建設用の高圧ケーブルの需要があまりに旺盛で供給が間に合わない、という。しかも、「理由不明で現場が混乱している」とのこと。

 そうして迎えた23年末。もともと年末は建設用電線の需要が高まる時期で、通常ならメーカーは生産キャパシティーを何割か増強して対応する。しかし、23年末は勝手が違った。例年以上に注文が殺到し、対応し切れないというのだ。高圧ケーブルだけではなく、秋からは低圧ケーブルまでも足りなくなっていた。

 そして年が明けた24年1月1日、石川県能登地方を震源とする大地震が襲った。筆者が所属する未来調達研究所は、サプライチェーン関連のコンサルティング業であり、登録会員が全国に約2万人いる。今回、緊急で約700人に能登半島地震の影響をヒアリングした。

 結果、およそ半数の企業が、「何らかの影響がある」と回答した。その多くは「在庫で対応できる」「代替メーカーで生産する」など影響は「軽微」とのことだ。

 一方、「在庫がない」「石川県のサプライヤーに金型がある」といった深刻なケースもあった。金型を再作製するのには数カ月はかかる。違うメーカーに持っていくにも、工場が被災していたり、物流上の問題があったりすると運べない。こうなると、不可抗力事項として客先に納期遅延を相談するしかない。

 そして今回、さらに深刻な回答を寄せたのが、大手建設業2社のサプライチェーン責任者だった。ここから先は、複数の関係者から聞いた「建設用電線の絶望的不足~6つの証言~」を紹介する。また、筆者なりに対応策を考えてみたい。