ダボスでは今年、予想外のことが起きた。社会通念が差し当たって右方向にやや傾いたのだ。2008~09年の金融危機以来、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の場で毎年、財界、政界そして社会のリーダーたちが行ってきた「世界的対話」には左寄りの傾向があった。西側諸国のエリートの意見は、国家による計画をより信頼し、市場の力をあまり信頼しない方向に動くことを運命付けられているように見えた。この変化には理由があった。中国の経済的成功は中央計画経済を正当化するように見えた。人々は、大規模な国家介入がネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)の世界への迅速かつ安価で効果的な移行を促進すると信じていた。経済危機は、米国式の「カウボーイ資本主義」が失敗だったことを明示したように見えた。「ステークホルダー資本主義」やESG(環境・社会・企業統治)投資は、旧式の類いのものと比較して、少なくとも同等には利益を生み、大幅に人気が高まると、これらを支持する人々は約束していた。ビジネスリーダーたちは、ウォーク(社会的不公正や差別への高い意識を持つこと)の世界に適応する必要があった。
【オピニオン】ダボス会議の緩やかな右傾化
世界のエリートは国家主義が機能せず、世界には米国が必要であることを悟り始めた
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