台湾・国会議長が野党「親中派」から選出、“ねじれ議会”鮮明化で有事への影響は?写真はイメージです Photo:PIXTA

「選挙イヤー」の2024年は
台湾で始まり米国で終わる

 世界各地で選挙が行われる「選挙イヤー」といえる2024年。その先陣を切る形で、1月13日、台湾で総統、立法委員(日本の国会議員に相当)のダブル選挙が開催された。

 結果は、民進党の頼清徳候補が、40%という過去2番目に低い得票率で「辛勝」。しかも、立法院(議会)では議席を現状から10減らし、第1党の座を最大野党の国民党に譲る形となった。頼が「弱い総統」、民進党が「弱い与党」としてスタートせざるを得ない構造が、投開票日であった1月13日の段階で早くも確定的となったのだ。

 前回コラムでは、今回の選挙結果を受けて、「台湾有事を占う8つのポイント」を取り上げた。その中で、ポイント6「2月1日に召集される立法院会議」として次のように提起した。

「台湾ダブル選挙が終了した今後の見通しとして、まず注目しなければならないのが、2月1日に召集される第1回立法院会議である。この場で立法院長、副院長が新委員間の選挙によって選出される。これから4年間の議会運営を左右する重要な一日になる。

 台湾では早くも攻防や議論が活発に行われているが、今回の立法委員選挙を受けて、キャスティングボートを握る民衆党の攻略にもよるが、立法院長は国民党所属の委員が選出される可能性が高い。そして最有力とされるのが、元高雄市長で、前回の総統選で蔡英文と戦った韓国瑜である。その場合、副院長がどうなるか。注目したい」

 2024年は選挙の開催地という意味では、台湾で始まり、米国で終わる。そして、後者において、現在優勢であるように見受けられる共和党のドナルド・トランプ候補が勝利し、大統領に再選したとして、台湾有事を巡る情勢は一層複雑になるというのが筆者の見立てである。

 その意味で、本連載でも今年を通じて台湾海峡を巡る地政学情勢という、日本にとっての「最大のマクロ」の一つを適宜取り上げ、扱っていきたいと考えている。

 本稿では、台湾での選挙を受けて最初の重大イベントであった2月1日の立法院長(国会議長)、副院長を巡る投票とその結果について検証を進めていきたい。