NTTが「光半導体」の実現を目指して光電融合技術の開発を加速する。政府が452億円の支援を決定する中で、最終的に目指す“ゲームチェンジ”の戦略が見えてきた。鍵を握る存在として浮上したのは国策半導体会社ラピダスだ。特集『狂騒!半導体』(全18回)の#12では、生成AI(人工知能)の普及によりITの世界で電力消費の削減需要が急増する中、省エネの切り札となるNTTの半導体戦略の道筋を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
「光半導体」目指す光電融合技術
政府が452億円で開発を支援
経済産業省は1月30日、NTTなどが進める光電融合デバイスの共同開発プロジェクトに452億円を補助すると発表した。
光電融合とは、データ通信や半導体で行うコンピューターの計算を電気ではなく光信号で処理する技術だ。デジタル化の進展でデータ処理量が膨大になり、電力消費は増大している。電気の処理を光に置き換える光電融合技術が普及すれば、大幅な消費電力の削減が見込める。
NTTは2019年に、光電融合技術を通じて電力効率を100倍、伝送容量125倍、遅延時間を200分の1にする次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」構想を打ち出している。
共同プロジェクトは、NTTのほか、古河電気工業、新光電気工業、キオクシアホールディングス、富士通、NECが参加した。NTTは実用化の段階で、米インテル、米ブロードコムと連携する。キオクシアはメモリー実装の実用化で韓国SKハイニックスの協力を得る予定だ。
これまでNTTの光電融合技術の研究開発はベールに包まれていたが、政府が共同プロジェクトへの支援を決定したことで、その中身が見えてきた。
果たして、NTTは「光半導体」によって、どのように産業界のゲームチェンジを起こそうとしているのか。次ページでは、その「道筋の詳細」を明らかにする。