狂騒!半導体#13Photo by Masato Kato

最先端の“2ナノメートル”半導体の国産化を目指す国策会社、ラピダスが2023年に本格稼働して1年が経過した。提携する米IBMに技術者を派遣し、北海道千歳市では工場を建設中だ。24年末には半導体の微細化に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置を工場の建屋に搬入し、25年4月に試作ラインの稼働を計画している。特集『狂騒!半導体』(全18回)の#13では、事業立ち上げに奔走する小池淳義社長に、米エヌビディアの躍進で拡大するビジネスチャンスや、台湾TSMCに対抗する戦略など、最新の動向について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)

生成AIブームで躍進するエヌビディア
最先端半導体の需要急拡大は「想定通り」

――ラピダスが2023年に本格稼働したタイミングに合わせるかのように、生成AI(人工知能)が爆発的に普及し、AI用の高性能半導体の需要が急拡大しています。最先端半導体の市場環境が大きく変化したと思います。

 変わったというか、われわれは、そうした市場の変化を想定してラピダスをつくったので、目指した方向感に間違いはないと感じているところです。やはり最先端半導体の需要は確実に伸びるということだと思います。

――AI用半導体の分野では、米エヌビディアが圧倒的なシェアを確保しています。ラピダスは最先端半導体の顧客をどのように開拓していくのでしょうか。

 米国で最先端のGPU(画像処理半導体)、CPU(中央演算処理装置)のメーカーのトップはほとんど知り合いですし、彼らにラピダスの説明を何度もしています。手ごたえはすごくあります。

 AI時代において、最先端半導体の需要は確実に伸びていくことを確信しているところで、ラピダスが量産を開始する27年ごろには、さらに爆発的な需要が見込めることを再確認しています。

エヌビディアを筆頭にAI用半導体の需要が急拡大していることについて「想定通り」と指摘する小池社長。今後も最先端半導体の需要が強まる予想の中、ラピダスの顧客をどのように開拓していくのか。また、最先端の“2ナノ”半導体の製造技術の確立によって、台湾TSMCにどう対抗していくのか。次ページで余すことなく語ってもらった。