「第二の『セクシー田中さん』問題」を
防ぐために日本企業に必要なこと
また、プロデュ―サーは、さまざまなマンガや小説やプロットの売り込みの中からどれを選ぶかの権限を持っている。ウソをついてまでOKしてもらおうと考える必要はない。原作に本当にほれ込んだのなら、通常のテレビ番組を超える番組を作ればよい。だが、そうではなく、原作者がテレビ的改変を嫌がるというのなら、別の作家(原作者)と交渉すればよいだけだ。
一方、プロデューサーではなく部下が交渉することになれば、部下はいくつもの選択権を持っているわけではないので、与えられた作品の原作者からOKを必ず取らなければならない状況に追い込まれる。
プロデューサーが、スタッフの意見を聞きながら、1人で決めるシステムを作れば、伝言ゲームのわなはなくなる。これは伝言ゲームの中間管理職が不要になるということだ。通常であれば、雇用問題を引き起こすが、現在、ストリーミングテレビの参入で多くの映像作品が求められている。くすぶっている中間管理職にもチャンスはあるだろう。
テレビで何を創るかを決定する立場にある人間はエリートであろう。エリートが率直で正直で、責任感を持つことが、日本のテレビ番組の質を高める。また、人が多すぎる組織は、効率を低めるだけでなく、個々人の責任感を低め、正直さをむしばむ。これはテレビ局だけの話ではなく、日本全体の話でもある。