合格力上位10校はいずれも私立中高一貫校
そろそろ2024年入試の合格者が発表されるタイミングであるが、このランキングは23年合格者実績に基づくものであることを、まずお断りしておきたい。
最優秀層にとって、医師という進路が明確な医学部医学科(以下、医学部)は、相変わらず根強い人気だ。各大学の学年募集定員が60から110までの5刻みで示されていた15年ほど前と比べると、医師不足に備えて、90から140までどこも増員されている。この間、少子化で高卒者数が1割ほど減少しているのに、医学部の募集定員は地域枠などで2割強増加している。つまり、医学部進学のハードルはだいぶ下がってきているといっていい。この他に省立の防衛医科大(募集定員約85人)もあるが、当合格力ランキングの対象とはなっていない。
この合格力ランキング算出の対象となるのは、国公立50大の医学部医学科の合格者数である。毎年のように募集定員は微修正されるが、国公私立大合わせて最大9420人程度に増員された募集定員のうち、国公立50大が5700人ほどを占めている。この枠にどれだけ多くの合格者を出すかで、「国公立大医学部合格力」は大きく左右される。
2023年のトップ3は、1位久留米大学附設(福岡・久留米市)、2位ラ・サール(鹿児島・鹿児島市)、3位灘(神戸市東灘区)となった。いずれも例年ベスト10に名を連ねる難関校である。23年の国公立医学部合格者数を見ると、久留米大学附設は69人、ラ・サールは66人、灘は65人となっている。この3校の卒業生概数は毎年200人前後であり、およそ3人に1人は国公立大医学部医学科に合格を得ている計算となる。まさに破格の実績といえる。
23年の合格力ランキングでは、卒業生概数が50人を下回る学校は除いたため、22年のベスト50校のうち3校が対象外となった。22年1位のリンデンホールスクール(福岡・筑紫野市)、39位青丘学院つくば(茨城・石岡市)、五島列島にある47位県立北松西(長崎・小値賀町)である。
23年4位は青雲(長崎・時津町)で、7位愛光(愛媛・松山市)ともども、寮のある私立中高一貫共学校として、県外からも広く生徒を集めている。5位東大寺学園(奈良・奈良市)、6位東海(名古屋市東区)、9位北嶺(札幌市清田区)、10位大阪星光学院(大阪市天王寺区)はいずれも男子校で、医学部に限らず難関国立大にも例年多くの合格者を出している。
ベスト10入りした女子校は、23年も桜蔭(東京・文京区)のみだった。ベスト10に首都圏からは桜蔭のみとなったのも、首都圏には私立医科大が多く、そこに流れる傾向があるためだ。(ランキング表にない11位以降を含む)上位20校を見ても、卒業生概数400人前後の学校は6位東海とほか1校のみで、120人台から多くても200人程度の学校がランキング上位を占める傾向にある。
なお、「合格力」の算出方法については、後段をご参照いただきたい。