経営思考写真はイメージです Photo:PIXTA

大手フリマアプリを運営するメルカリが、2024年春に「スキマバイト市場」に参入すると表明しました。この市場はパイオニア的存在の「タイミー(Timee)」をはじめ、多数のプレイヤーが戦う新興市場です。テック業界で躍進を続けるメルカリ、市場の先駆者であるタイミー。今後、両社はどのような戦略を展開し、ポジションを確立していくのでしょうか。(グロービス・マネジメント・スクール 講師 太田昂志)

メルカリもこの春参入!
「ギグエコノミー」ってどんな市場?

 ギグワークとは、単発もしくは短期の仕事を請け負う働き方のことを言います。自分の都合の良い時間にだけ働くことができるということで、日本では「スキマバイト」という呼び方も広がりつつあります。

“ギグ”は、ミュージシャンが単発で演奏を請け負う「Gig」に由来します。こうした働き方は会計士や通訳などの特定の専門職に限られていましたが、インターネットの普及によって働き手と勤務先のマッチングが容易になることで、専門職以外の仕事にも徐々に広がっていきました。

 1日だけイベントスタッフとして働く、繁忙期の飲食店や工場でアルバイトをするなどの経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。国内でも、労働者の価値観の変化やライフスタイルの多様化などにより、ギグワークが徐々に広まっています。特に新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにその流れが加速し、フードデリバリー、Webデザイン、記事作成、家事代行など、今ではさまざまな業務でギグワークの市場――「ギグエコノミー」が拡大しています。

 タイミーなどのサービスは、働き手と勤務先である企業を結び付けるプラットフォームです。こうしたギグワークのマッチングは、どのような構造で成り立っているのでしょうか。手掛かりとして、「5つの力分析」で分析してみましょう。