正論を言う前にちょっとストップ!

 そのひとつのポイントとは、「相手に共感してから正論を言うこと」です。正論とは、あえて強い言葉を使うなら「劇薬」です。場合によっては言われたくないことも言わなければなりません。

 その刺激の強さから、正しいことを言っただけなのに「あの人はいつも嫌味ばっかり言って邪魔してくる」と、相手は自然と自分のことを敵だと認識してしまいます。非常にもったいない現象でしょう。

 ですから、正論を言う前に、まずは相手の意見を肯定して共感をしましょう。「たしかに、〇〇さんの言う通りですよね。私もそういうことあります」「わかります。難しい問題ですよね」など、相手にとって自分は味方であることをしっかりと表現しましょう。敵の意見は聞かずとも、味方だとわかった途端に、人は意外とどんな意見にも耳を傾けてくれるものです。

 共感したあとの正論であれば、「この人は一緒に解決策を探してくれているんだ」と相手は自分を信頼してくれるでしょう。

 たとえば、「それって、〇〇すればいいんじゃないですか?」と言うよりも、「その問題すごくわかります。ひとつ提案なんですけど、〇〇するのはどうですかね」と言った方が印象はいいでしょう。

 つまり、大事なのは、正論を言う前に相手に共感をして、味方だと思ってもらうことなのです。

 ほとんどの場合、正論を言えたり、自分の意見を伝えられる人は、相手のことを思っての発言です。ただそのことが相手に伝わらず、意地悪だと勘違いされてしまっては意味がありません。

 ちょっとした意識で実践できることですので、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。