日経平均株価が高値更新を続けている。米国株上昇や円安といった外部要因のサポートに加え、日本企業の企業統治改革や昨年を上回る賃金上昇期待など内部要因も株価を支えている。ただ、今後米国の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに伴う円高転換などを考慮に入れると、24年の投資対象は質の高い銘柄に絞る方がよいだろう。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)
業績が株価にしっかり
反映される日本株市場に
日本株の上昇は警戒すべきものか。日経平均株価は2月22日(3万9098円)に1989年12月29日(3万8915円)以来の史上最高値を更新し、その後3月4日には4万円台に乗せた。
2024年の日本は、30年ぶりにインフレがある世界を迎え、安定的に賃金が上昇し始め、名目GDP(国内総生産)成長率が高まり、ようやく日本も他市場と同じようにグローバル投資家から投資対象として見られる時代が来たのだろうと考える。
現在の日本の企業業績を、データが取得可能な1995年の企業業績と比較すると、日本企業のEPS(1株当たり利益)は8倍、BPS(1株当たり資産)は1.5倍拡大した。一方で、株価はバリュエーション(株価評価)の低下により上がりづらい状況にあった。しかし、今後は業績が株価にしっかり反映される時代が来るのだろう。
日本株は24年年初来大きく上昇し(1~2月に日経平均19%、TOPIX〈東証株価指数〉14%、S&P500 7%、欧州3%、世界株指数5%)と世界の他の市場を上回っている。
次ページ以降、世界の他の市場を上回る上昇を見せている要因を解説、検証していく。