
小林千紗
米国では4~6月期の決算発表が本格化する中、S&P500構成企業の業績はおおむね堅調だ。しかし、マグニフィセント7の増益鈍化や高水準のPER(株価収益率)などから、短期的な株価の上昇余地は限定的とみられる。関税政策の不透明感が残る中で、今後の市場動向と注目セクターを分析すると、選別投資が求められる局面で、金融やディフェンシブ銘柄の相対的優位性が浮かび上がる。

外国人投資家による日本株の買い越しが続いている。4月中旬から6月上旬までで9週連続となった。2023年春と同様に、企業によるコーポレートガバナンス改革や自社株買いの進展が背景にあるが、今回は外部環境の不確実性も増している。25年のマクロ環境や業績への影響を踏まえた投資戦略を考察する。

世界の主要な株式市場は、米国による相互関税発表前の水準まで回復した。企業業績の大幅な悪化は避けられたが、関税の影響が完全に払拭されたわけではない。業績は下方修正されており、株価の上昇には慎重な見方も根強い。株価回復の要因、関税を含めた今後の注視点、日本企業の構造改革の動向、そして有望な投資戦略について分析する。

4月7日の底値から日本株は急回復し、TOPIX(東証株価指数)は直近ピークの半値を回復した。円高進行にもかかわらず株価が上昇した背景には、悲観のピークは過ぎたと思われること、米国からの流出資金の受け皿としての期待や、対米通商交渉において各国の先導役を担うという期待がある。ただし、企業業績の下方修正リスクや為替問題が残り、今後はレンジ相場を想定すべき局面にある。

自動車への25%関税などトランプ関税が株式市場の心理を悪化させ、PER(株価収益率)が低下する形で株価は大きく下落している。いつ関税の霧が晴れるのか。日本市場においては、4月末から5月の決算発表が契機になるとみている。今は、年後半の株価回復を見据えて我慢する時期だ。

トランプ政権の関税政策で先行き不透明感が強まる中、日本株はレンジ相場が続いている。今後も不確実性の高さゆえ市場のボラティリティーは高い状態が続くだろう。だが、それはクオリティーの高い銘柄への投資の好機でもある。

2025年もAI関連の投資の増勢は続く。ただ、最も付加価値を稼ぐ企業群は現在の半導体から移っていくだろう。その移っていく先はどこか。サイクルの動きを分析しながら新たな有望業種、企業群を検証する。

2024年は、株価において米国の独り勝ちだった。25年も米国一強の状況は続きそうだ。株価関連指標で見た割高感を指摘する声は少なくないが、ROE(自己資本利益率)が上昇を続けるなど収益力の向上が続いており、現実には割高感は乏しい。25年の米国株を展望するとともに、有望な業種を探る。

トランプ氏が米国大統領選挙で当選した直後は上昇した日本株だが、その後は足取りが重い。関税政策を中心としたトランプ2.0の経済政策を巡る不透明感が相場にのしかかっている。ただ、その不透明感が解消した後、日本株に対して過度に悲観する必要はない。日本株を支える3つの材料について解説する。

米国大統領選が終わり、これまでのセオリー通りに日本株は上昇している。ただ、先行きは楽観できない。企業業績の伸びが鈍化し、25年はこれまでのような円安の追い風はない。海外投資家の資金を呼び込むために日本企業が満たすべき条件は何かを検証する。

米国大統領選挙後は不透明要因が払拭され株価は上昇する可能性が高い。米国の利下げが継続し、米景気がソフトランディングすることが予想され、為替相場は円高に振れるだろう。そうした状況下、日本株の投資対象の絞り方を分析・予測する。

FRBは利下げに転じる。過去の利下げ局面の最初の利下げ幅とその後の景気・株価動向を検証すると一定の傾向が見て取れる。今回、米国景気はソフトランディングの可能性が高いとみている。その際、有望と思われるセクターを3つ挙げた。

株価急落の要因となった米国景気後退懸念は和らぎつつあり、円高も落ち着きつつある。だが、米国大統領選挙が終わるまでは不透明感は拭えない。株価上昇は選挙後だろう。その後の25年に向けて投資対象として有望な業種を検証していく。

日本株が7月以降、乱高下した理由を考えると、米国発の要因が大きかった。一方で、日本株の底堅さを感じさせる側面もあった。それぞれの要因を振り返りながら、今年下期以降の日本株の投資戦略を展望する。

株式投資はリスクが高い。それは事実である。ただ、投資先を分散したり、他の商品との投資を組み合わせたりすることでリスクを調整できる。長期間投資すれば、そのこと自体がリスクを低下させる。それらの組み合わせで個々人が許容できる最大損失額に合わせたリスクを取った資産運用を心掛けたい。

2024年3月本決算時に発表された自社株買い総額は過去最高を更新した。今後も日本企業の企業統治改革は進みそうだ。例年通り会社の業績予想は保守的で、秋以降の上方修正の公算は大きい。年末に向けて株価上昇が期待できる環境下で投資妙味のある株式群を検証した。

これまでの相場をけん引してきた大型テクノロジー株の決算を控え、株式市場のボラティリティが高まっているが、今年はさらにボラティリティを高めるイベントが待ち受けている。それは米国の大統領選挙だ。その動向と株価との相関について検証する。

日本経済はインフレのある世界に入った。賃金と物価の好循環が見通せるとして日本銀行がマイナス金利解除に踏み切ったのがその証左である。今後の日本の株式市場においては、コーポレートガバナンス改革への取り組みの差が企業価値の格差となり、新陳代謝が進む。

日経平均株価が高値更新を続けている。米国株上昇や円安といった外部要因のサポートに加え、日本企業の企業統治改革や昨年を上回る賃金上昇期待など内部要因も株価を支えている。ただ、今後米国の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに伴う円高転換などを考慮に入れると、24年の投資対象は質の高い銘柄に絞る方がよいだろう。

AI市場は2027年には4200億ドルに拡大し、22年の15倍の規模に達する。24年にAI関連の銘柄で最も市場拡大の恩恵を受けるのはどの業種か。サイクルに基づいて分析するとともに24年の市場全体の環境を検証する。
