敵を作らないためには
謙虚な姿勢を見せること
昭和最後の内閣総理大臣だった竹下登さんは、「気配りで総理になった」といわれるほど敵を作らない性格でした。そんな竹下さんの口癖は、「汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう」だったといわれています。
この姿勢は私たちもぜひ見習いたいものですね。
敵を作らなければ、足を引っ張られたり、嫌がらせを受けたりすることもありません。つまりは、のびのびとした人生を歩めるわけです。
ノーザン・イリノイ大学のステファニー・ヘナガンは、4つの不動産会社の販売員で、社内賞をとるほどの優秀な販売員がどのようなことを心がけているのかを調べてみました。
その結果、社内コンテストで優勝する人ほど、同僚たちからの妬みや怒りなどを持たれやすいので、手柄を他の人にゆずってしまうという作戦をとっていることが明らかにされました。
「いやいや、私がうまくいったのは、課長のおかげですから」
「ほとんど部下が下地を作ってくれたので、私は何もしていません」
「○○さんのサポートがなければうまくいきませんでした」
こんな感じで、自分の手柄は他の人にゆずってしまいましょう。そうすれば、妬みを買うこともありません。
妬みを買うと、いちいち仕事の邪魔をされることになり、そのたびに面倒くさいと感じることが増えます。そうならないようにするためには、他の人に手柄をゆずってしまったほうがいいわけです。
「それでは、自分の努力が報われないではないか」「せっかく賞をとったのに意味がないではないか」
と思う読者もいるでしょう。
内藤誼人 著
ですが、手柄を他の人にゆずっても、周囲の人たちはだれが頑張っていたのかは何となくわかるものです。謙虚な自己アピールをしていたほうが、周囲の人たちからの評価も高くなります。つまり、努力が報われないとか、意味がない、ということにはならないのです。
チームやグループで仕事をしている人も少なくないと思うのですが、こういうときにもチームの業績に対する自分の貢献度は、できるだけ小さく見積もらなければなりません。そういう謙虚な姿勢を見せることが大切です。
どんな業界の、どんな職場でもそうだと思うのですが、偉そうな態度の人はたいてい嫌われます。逆に、謙虚な姿勢をとっている人は、どんな職場でも人気者になれるものなのです。