今とは違うやりたいこと、興味がある分野で起業するのも、50代の動けるうちにその領域をちょっとずつ勉強して、副業でもいいから手掛けておけば随分違います。

 どれもこれも60歳になって、いくら時間とお金が余っていても、ゼロからスタートさせるのはあまりに荷が重いはずです。

 だからまず、50代になったら「ちゃんと仕事をすべき」なんて常識を捨てましょう。

残された時間を自分のために使うには

 あなたはこれまで十分、会社に、そして社会に尽くしてきたはずです。それなりの結果も残してきた。しかし、同じことをあと10年続けたとして、今以上に上り詰められる見込みはありそうでしょうか? もし現状維持か下がるだけになりそうなら、切り替えたほうがいい。無理して続けても、10年後にボロ雑巾のようになっているだけです。

 だから、50代になったら「会社に尽くす」意識は捨てましょう。アクセルを緩めていい。むしろ、会社や仕事だけに貴重な時間と体力を搾り取られるのはナンセンス。誰かのために人生のリソースを使うのはやめて、本当に自分がやりたいことのためにそれを使いましょう。今いる会社、今たずさわる仕事は、ひとまずの生活費を稼ぐ手段として割り切るくらいでいいのです。

「きちんとお金を稼ぐ」ことは大切です。だから、会社をやめろとは言いません。

 しかし、やりたいことを削って、やりたくないことをしてまで“きちんと”する必要はありません。

「けれど、まだ家族にお金がかかる。良き父親(母親)でもありたい」

 もし、本気でそう思っているなら、なおさら生真面目に働くことも、お金のために必死になることも手放すのが正解です。