行きつけの店しか行かないとか、同じ著者の本ばかり読むという形で、想定外のことが起きないような生活を好むようになるのです。すると、前頭葉を使わないので、余計に前頭葉が衰えます。

 ここでは前頭葉の若さを保つために常識を捨て、楽しむことで、前頭葉を若返らせ、意欲を保つための方法や考え方をお伝えします。

 定年後でもいいじゃないかと思いますが、そのときには今よりずっと意欲が衰えていることが多いのです。そうなったら、楽しむことさえ面倒になりかねません。定年後にも働くことで脳や身体機能を維持できるのですが、その準備も50代からのほうが賢明です。

50代になったら使うのを一切やめたい言葉

 50代になったら、使うのを控えてほしい言葉があります。

「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」といった類いの副詞です。

 日本人は生真面目(きまじめ)な方が多いため、こうした言葉で自分を縛りつけます。

「プロとして“ちゃんと”仕事をしなければ」

「“きちんと”お金を稼いで、老後に備える必要がある」

「父親(母親)なんだから、“しっかり”しよう」

 すばらしい。

 まだあなたが40代以下であれば、私は称賛したでしょう。

 職種や業種を問わず、真摯に仕事することは称賛に値します。一人ひとりの仕事が社会を支えています。老後に備えて効率的にお金を稼ぎ、貯蓄や投資などで賢く増やせば、収入が減る老後の生活も安心です。良き家庭人、良き上司でいることは人望につながり、居心地が良く心理的安全性の高い自宅や職場を築くことにつながります。

 しかし、あなたがすでに50代なら話は別です。