後継者難などで悩む中小企業を次々買収してきた「MJG」(東京都港区、本社の外観写真あり)で、昨年11月に代表の田邑元基氏が解任される“クーデター”が発生した一件について、筆者は前回のダイヤモンド・オンラインの記事で報じた(なお、MJGは昨年10月にいったん、日本マニュファクチャリングホールディングスと社名を変更していたが、今年2月再び社名をMJGに戻した)。MJGでは一体何が起きているのか。2月の臨時株主総会と取締役会を経て代表に復帰した田邑氏が取材に応じた。(東京経済東京本部長 井出豪彦)
田邑氏が解任された
取締役会の議事録を入手
クーデターを受けて新代表に就任したA氏は代理人を通じてグループ会社や取引先に文書を送付し、田邑氏の解任理由について「田邑氏の代表取締役としての複数に及ぶ違法行為が判明している」などと説明していたが、具体的な違法行為の内容については言及がなかった。
このほど筆者は関係者から、田邑氏が解任された昨年11月14日の取締役会の詳細な議事録を入手した。それによれば田邑氏はMJGの実施した企業買収などに際し、取締役会決議を取っていないという会社法違反を指摘されていたことがわかった。
また、社外取締役4人はこの取締役会の翌日、一斉に辞任したが、このうち1人は取締役会で「田邑氏のM&Aのやり方は異常である。M&Aを資金繰りに使う、というのは完全に間違っている」などと発言していたことがわかった。MJGが2023年6月期中、新規に買収した会社からの預かり金として15億円を調達したなどと財務担当が説明したことを受けた発言である。
MJGは日本M&Aセンター名誉会長の分林保弘氏、レノバ名誉会長の千本倖生氏、上智大学大学院教授の織朱實氏らを社外取締役に招聘(しょうへい)するなどして、株式公開に向けてコンプライアンスの態勢を整えてきた経緯がある。
前回の記事掲載以降、筆者のもとには匿名を条件に「MJGの子会社のなかには親会社に資金を吸い上げられた結果、電気代や税金を払えないほど資金繰りに行き詰まっているところがある」との情報提供もあった。果たしてMJGとグループ会社約40社の経営は持続可能なのか。今回、2月の臨時株主総会と取締役会を経て代表に復帰した田邑氏が取材に応じた。