投資対象として、金(ゴールド)が輝く瞬間は訪れては消える。今まさにその瞬間が訪れており、そうなる根拠もある。投資の世界で金ほど賛否両論のあるテーマは数少ない。インフレに備えて金を保有することは不可欠だと主張する人もいる。リターンが見劣りする原始的な遺物に過ぎないとの見方もある。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、世界中の金で構成された巨大で不動の立方体よりも、生産性の高い成長企業の株式に投資すべきだと主張したのは有名な話だ。同氏は「この立方体は、なでることはできるが反応しない」と冗談を言っている。3月に金相場が1トロイオンス=2100ドルを突破し、過去最高値を付けたことを受けて、この議論が再燃している。金の長期的な記録を検証してみても、どちらの言い分も完全には正当化されない。長期で見た場合は大半の期間において、金のパフォーマンスは株式に見劣りする。だが、1970年以降の50年間のうちの20年間など、金は長らくアウトパフォームしており、効果的なヘッジとして機能することがうかがえる。ただ、金が具体的に何に対するヘッジとなっているのかは、あまり明確ではない。インフレだけではないのだ。
金相場の上昇要因、今回はインフレにあらず
金は不安そのものに対するヘッジとして機能し、現代の魅力的な資産となっている
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