現代の経営に携わる意思決定者は、経営戦略やオペレーション、人事、サプライチェーン、会計などの伝統的な経営分野での考察に止まらず、哲学、心理学、脳科学、医学、倫理学、経済学、テクノロジーといった多岐にわたる分野からの多面的な洞察が要求される。
なぜなら、変化に対して適切な意思決定を継続的に行うためには、異なる専門分野の知識を統合し、複雑な情報から内外の環境を分析・評価しつつ深い洞察を導く必要があるからだ。
我々は、その概念を「統合知」という。
書籍『経営に新たな視点をもたらす「統合知」の時代』は、PwCコンサルティング合同会社のシンクタンク部門であるPwC Intelligenceがまとめる最初の書籍である。
本連載の第1回は、書籍『経営に新たな視点をもたらす「統合知」の時代』の第1章「変化する世界、日本の立ち位置」および第8章「PwC コンサルティング パートナー三治 信一朗とチーフエコノミスト片岡 剛士の対談」より抜粋し、お伝えする。

現代の意思決定者に必要な「統合知」とは〈PR〉

専門性を強化した「深い視点」と
内外と連携し全体を俯瞰する「高い視点」

 現代の不確実性の高い世界において、企業や個人が環境の変化を見極めながら素早く対応していくには、個々の専門性を強化した「深い視点」でいま何が起きているのかをつぶさに観察し、広い範囲で内外と連携し全体を俯瞰する「高い視点」から状況判断を行い、意思決定することが肝要である。

 なぜなら、世界が抱える課題は、特定の専門領域の知見のみで解決策が見出せるようなものではなく、むしろ各専門領域の狭間に存在しているからだ。

 PwC Intelligenceは、マクロ経済、サステナビリティ、地政学、サイバーセキュリティ、テクノロジーの5つの専門領域を柱に据え、この5つの専門領域に加えて業界別の知見をさらに組み合わせる「統合知」を通じてインテリジェンスを企業に提供することを目指している。

 この「統合知」は、専門領域や業界知見を組み合わせるという意味合いに加えて、各専門領域の専門家の洞察、事実に基づくデータ分析、さらに社内外の有識者ネットワークという3者を有機的に組み合わせるという行為を通じて、知の生成・集積のあり方をも統合させようという狙いをも有している。

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