世界的なデザインファームの雄、IDEO Tokyoのマネジングディレクター兼共同代表を務めていた“大物コンサルタント”の野々村健一氏が昨年、PwCコンサルティングに電撃移籍した。移籍の背景は?PwCのデザインコンサル強化の狙いは?IDEOの日本オフィス閉鎖の影響は?――。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、野々村氏とPwCの三山功パートナーへのインタビューをお届けする。
IDEO日本拠点のトップが
PwCに電撃移籍!
昨夏、IDEO Tokyoのマネジングディレクター兼共同代表を務めていた野々村健一氏が、PwCコンサルティングに電撃移籍した。
IDEOといえば、「デザイン思考」を世に広めたとされる世界的なデザインコンサルの雄だ。その日本拠点に長らく所属し、デザインかいわいでも抜群の知名度を誇る「大物コンサルタント」の野々村氏がPwCに移籍したことは、業界関係者に大きな衝撃を与えた。
野々村氏はPwCが2020年に肝いりで設立した、未来デザインなどを手掛けるコンサル部隊の「Future Design Lab(FDL)」の共同代表に就任。同氏の移籍は、PwCがデザインコンサル領域へ本格的に攻め込むという、これ以上ない大きな象徴になったといえるだろう。
しかし、一方でIDEOは昨年末、日本拠点でのコンサルティング活動を停止するという衝撃的な計画を発表した。また、全世界で従業員25%を解雇することが報道などで明らかとなり、ここにきてデザインコンサルが“曲がり角”を迎えているのではないか、との疑念も世間に抱かせた。
野々村氏はなぜPwCに移籍したのか、PwCはデザインコンサル方面でどんなビジネスを構築しようとしているのか、IDEO Tokyoの閉鎖はデザインコンサルの“限界”を示すものなのか――。
今回、ダイヤモンド編集部は野々村氏を直撃し、それらの疑問をぶつけた。インタビューから明らかになったのは、PwCがある種の「脱コンサル」を目指すという野心的なビジョンと、そうした背景にあるデザインコンサルの新潮流だ。
次ページでは、両者そろってはメディア初登場となる野々村健一氏と、同じくFDLのリーダーを務める三山功パートナーへのインタビューをお届けする。