きれいごとに要注意…インターンシップ「上級者のフィードバック」とは?イラスト/足立もえか
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2024」の「親子で知る激変インターンシップの勝ち抜き方」を転載し、一部加筆したものです。

インターンシップの後に企業からもらうフィードバックは、まるで自分の通信簿のようで聞くのが怖いという学生もいる。しかしこの内容から、採用企業の熱意や意識の高さを測ることができる。事前に知っておくと役立つ、良いフィードバック、残念なフィードバックの例を紹介しよう。(ダイヤモンド・ライフ編集部、取材・文/東野りか)

良いフィードバック、
残念なフィードバックとは?

 インターンシップにおけるフィードバック(以降、FB)とは、受け入れ先の企業の担当社員が、学生に対して、面談などで評価やアドバイスを提供すること。学生は言われたことを今後の就職活動や社会人生活の糧にするとともに、「企業を判断する指標の一つとなり得る」と言うのは、千葉商科大学准教授の常見陽平氏だ。

「やたら褒めていい気分にさせるだけ、表面上きれいにまとめているFBには要注意です。FBは最終的に学生の成長を促すものであるべき。学生のどういう点が良かったのか、良くなかったのかを、具体的に、そして論理的に指摘したものが良いFBといえます」

 その指摘が的を射ていればいるほど、自分のことをよく見てくれているという証拠。さらに“承認と評価”の2段階で行われているのも、良いFBの典型である。

「例えば最初に『グループワークで、あなたは進行役を買って出ていましたね。その積極性、素晴らしい』というのが承認です。その後に『だけど、このワークのときに、A君ばかりに発言させていたのは気をつけた方がいいね。B子さんも発言したそうにしていたし、もっと周囲に目を配れていたら、進行として完璧だったね』というのが評価。頑張ったことをまずは認めて、そのあと具体的な点を挙げて正当な評価をする。そういう段階を踏んだFBであれば、なお優秀だといえます」

 また、“直球意見8割、変化球2割”は上級者のバランスだ。

「直球の意見は、今すぐに学生に役立つような内容で構成されているもの。後の2割は『そこには気付かなかったな』と、これまでになかった視点を与えて考えさせるようなものです」

 直球の例は「クリエイティブ職を目指しているなら、普段からさまざまな制作物に目を通し自分なりの感想を持つこと」など、明日からでもできるようなアドバイスで、変化球の例は「あなたはクリエイティブ職に就きたいと言っているが、参加したグループワークを見ていると、地道にほかの人をサポートするのが得意なようです。総務などの管理部門もいいかもしれません」というように、結果的に将来の選択肢を広げてくれるようなコメント。

 インターンシップに参加した一人一人の学生をよく見て、具体的なFBを与える、さらには直球と変化球のバランスのいい構成で仕上げるには、相当な情熱が必要だ。それだけに、担当社員の真剣さも肌で感じられるし、新入社員を育成しようという企業の気概も伝わってくる。

「具体性がなく、誰にでも当てはまるような抽象的なもの、やっつけ感があるものは、担当者の採用に対する熱意が感じられません。裁判のように威圧感をまとって、学生のあら探し、ダメ出しをしてくるケースは最悪です」