エントリーシート(ES)作成に「ChatGPT」を活用してみよう! とはいえ、その特性を知らずに使うと逆効果。就職支援会社UZUZ代表取締役の岡本啓毅氏に、生成AIを使って「選考を通過するレベルのES」を作成する方法を解説してもらった。(取材・文/楠本 亘)
選考を通過するESとは?
どんなことをどう書くか
就活生1人当たりのエントリーシート(ES)提出件数は約20~30社といわれる。自己PRやガクチカ(*)、志望動機、加えて企業独自の記載項目を何十社分も埋めていく作業は、これだけでも大変な労力を要する。
近年は、人工知能(AI)を使ってウェブ上で自己PRや志望動機を自動生成するサービスが急増している。これらを活用してES作成の効率を上げるのも一案だ。しかし、AIが生成する結果には独特の特徴がある。活用の際はその点を理解しておこう。
そこで、今回はビジネスシーンでも急速に活用が進む「ChatGPT」を使って、どうすれば「合格レベル」のESが作成できるか、その過程を検証してみたい。
多数の応募から「選考を通過するES」に必要な条件とは何だろうか。主に20代の若者向けに就職支援を行うUZUZ代表取締役の岡本啓毅氏は、企業側に「採用したら活躍しそうだ!」と思わせるESであることが必須だと言う。
図1を見てほしい。自己PRやガクチカなら、取り上げるエピソードとその成果、および、成果に至った取り組み内容を具体的かつ簡潔にまとめる。ただし、淡々と箇条書きにするのではなく、挫折経験やそこから脱出するために行った工夫などを織り交ぜ「ストーリー」で伝えることが重要だ。
挫折した経験を隠す必要はない。むしろ、それを乗り越えた経験がエピソードにリアリティーを持たせ、読む人が応募者の人物像を描きやすくなる。「面接に進んだ時に聞いてほしい内容へと、読み手の関心を誘うように書くのがコツ」(岡本氏)である。
志望動機については、さらに「自分がその会社で働くメリット」と「会社が自分を雇うメリット」の両方が重なる部分を精査し、自己PRと同様、ストーリーを立てて理由を説明する必要がある。一方で「アルバイト経験で培った接客力で貴社に貢献したい」のように、企業側と会っていない書類選考の段階で、思い込みによる”貢献”を志望動機にしても共感は得られない。
果たして、ChatGPTはこれらの条件を満たし「採用したら活躍しそうだ!」と思わせるESを作成できるのか。基本的なプロンプト(指示)で生成した自己PRのイメージを次のページの図2で再現してみた。
*「学生時代に力を入れてきたこと」の略