高岡浩三氏Photo by Masato Kato

トヨタ自動車は3月、社外取締役と社外監査役の役割の明確化と、独立性判断に関する基準を見直した。だが、その内容はガバナンスの改善効果を疑わざるを得ないものだった。果たして、トヨタのガバナンスは健全なのか。ネスレ日本で10年間社長を務めた高岡浩三氏にトヨタの抱える課題を挙げてもらった。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

「トヨタフィロソフィー」の理解を
社外取に求めるのはお門違い

「トヨタフィロソフィー」――。3月下旬にトヨタ自動車が社外取締役に求める役割や期待を明確化したというリリースの中に、ひと際目立つワードがある。

 トヨタフィロソフィーとは、トヨタグループの創始者、豊田佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」をベースに、クルマづくりを通じて、顧客や社会に幸せをもたらすことなどをまとめた経営理念だ。

 豊田章男会長は、トヨタフィロソフィーの必要性をたびたび強調してきた。トヨタは新たに見直した社外取締役と社外監査役の基準の冒頭にある、「社外役員の役割・期待」の第一の項目として、「トヨタフィロソフィーに共感すること」を掲げている。

 しかし、前ネスレ日本社長の高岡浩三氏は、社外取らの第一条件としてトヨタフィロソフィーへの理解を求める姿勢に首をかしげる。「現執行役がやっていることが正しく、それに追従しなさいと言っているように見える」からだ。

 高岡氏はネスレの取締役の構成と比較すると、トヨタが発表した役割と期待、そして人選に疑問が残ると指摘する。

 次ページでは、高岡氏にネスレと比較しながらトヨタが抱える問題点について指摘してもらった。