将来の物件下落率の目安
まず、昨今の不動産市況は2008年以降順調に上昇を続けています。そのため、今は築年数が増えても価値が上がっている物件が多く、下落率を正しく出すことがなかなか難しいのが実態です。
では、税務上の減価償却の規定、すなわち何年で価値が0になると帳簿上見立てるか、というと、木造の戸建てで22年。マンションにおける一般的な構造RC造で47年とされています。
また、一般的に土地は価値が減らないと考えます。エリアによって大きく変わってきますが、首都圏戸建てであれば土地7割:建物3割程度、マンションであれば土地3割:建物7割程度が平均的な価値の比率です。つまり、次の図のような形で毎年の価値の下落がわかります。
そのため、今回のシミュレーションでは、物件の価格下落率を1・5%と計算します。ただ、もちろんこれよりも下落率が高い物件もあれば、低い物件も存在します。つまり、なるべく価値が減らない物件を手に入れることが資産を残すという観点からは大事と言えるでしょう。
最後は、「待つことのコスト」です。5年後に中古マンションを5%安く買えたとしても、実は将来の住居費比較では得をしていないことがわかりました。それは待っている間に払う賃料が実は大きいことが理由です。加えて、健康状態が悪化してローンがいい条件で組めなくなるリスクもその分高まります。
さらに言えば、「5年待てば安くなる!」と予想するのは我々プロでも非常に難しく、もしそれが可能ならば、皆さんのところに情報が届く前に不動産会社がその物件を押さえてしまうでしょう。つまり、「待てば安くなってトクをする」というのは悲しいですが幻想でしかないのです。