大手銀行6行からNISA口座6万超が流出!ネット証券に惨敗、分かれた明暗Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

 当会の調査によれば、2024年3月末時点のネット証券5社の新NISA口座数は1,000万超に達した一方、大手銀行6行では200万弱にとどまった。1~3月の買い付け金額を見ても、ネット証券では前年同期比4.6倍と大きく伸びたのに対し、大手銀行では同2.2倍と、投資枠の大幅拡大を踏まえれば相応に過ぎない水準となり、両者で明暗が分かれる結果となった。

【ネット証券5社】口座数1,000万超え、ネット証券の新NISA

 2024年3月末時点のネット証券5社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券)の新NISA口座数は、1,090万1,320口座となった(図表1)。23年12月末時点の5社のNISA口座数(一般NISAとつみたてNISA口座の合計)は937万9,906口座であり、152万1,414口座増加したことになる(注)。24年1~3月の新規開設口座数は155万30口座だったことから、差し引き2万8,616口座は閉鎖もしくは他の金融機関に移管されたと推測できる。

 また、新NISAの稼働口座数は、24年3月末時点で成長投資枠が322万2,095口座、つみたて投資枠が558万5,770口座だった。併用口座の重複分を除くと稼働口座数は676万3,595口座で、稼働率は62.0%であった。

 1年前の23年3月末時点では、NISAの稼働口座数(一般NISAとつみたてNISAの合算)は541万6,583口座で、稼働率は69.7%だった。新NISAの稼働率はそこから7.7%ポイント低下した。

 24年1~3月の新NISAの買い付け金額は、成長投資枠が2兆7,644億6,900万円、つみたて投資枠が7,071億6,100万円で、合計で3兆4,716億3,000万円だった。23年1~3月のNISA口座の買い付け金額(一般NISAとつみたてNISAの合計)は7,396億円であり、新NISAの買い付け金額は4.6倍と大きく増加したことになる。

 商品別に見ると、新NISAの24年1~3月の買い付け金額は、株式が1兆6,738億4,400万円、投信が1兆7,977億8,600万円だった。1年前の23年1~3月における一般NISAの株式買い付け金額は3,745億円にとどまっており、新NISAにおける株式買い付け金額はその4.4倍となった。また、同期間におけるNISAの投信買い付け金額は3,651億円であり、新NISAの投信買い付け金額はその4.9倍と、株式を上回る増加率となっている。

 新NISAの株式買い付け金額ベスト3では、ほぼ全社でJT(日本たばこ産業)、NTT(日本電信電話)、三菱UFJフィナンシャル・グループがランクインした。唯一の例外は楽天証券の1位で、米NVIDIAだった。

 すなわち株式投資では、ちまたでいわれているような「キャピタルフライト」はなく、日本の好配当銘柄を中心に投資が行われていることが分かった。回転売買のようなことが行われる余地もない。

 他方、投信では、全社でスポット・積み立てのいずれも三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が1、2位を占めている。