「信頼してもらいたい」「仕事ができると思われたい」と誰もが思いますが、意気込みのあまり、“うまく話すこと”や“自分の知識・経験を披露すること”に力を注いでいませんか?実はこれ、逆効果だったのです。2023年ベストセラーランキングビジネス書部門で1位(日販・トーハン調べ)に輝いた安達裕哉さんの著書『頭のいい人が話す前に考えていること』から、話し方の極意を紹介します。(フリー編集者・ライター 宮下舞子)
自分から頑張って
話さなくてもいい
「あの人といるといつも話が弾む」「自然と深い話ができる」――。ビジネスでも私生活でも、このような人の周りには自然と人が集まってきます。話しベタな人ほど、「あんなふうにうまく話せるようになりたい!」と憧れの気持ちを抱くものです。
そこでしてしまいがちなのが、手っ取り早く「雑談力を磨く力」や「会話術」を身に付けようとすることです。でも、表層的なテクニックはすぐにバレて、逆に「浅い人」と思われてしまう危険性もあります。人と話をするときに本当に大切なことは、話し方の技術ではないからです。
冒頭のような人は、話がうまいのではなく、圧倒的に「聞く力」が優れている人です。プレゼンや打ち合わせ、会議などの場で、私たちはどうしても「自分が話す」ことに意識を向けてしまいがちです。でも、話すことよりも「聞く」ことの方がよほど重要で、まずは目の前の相手の話を「ちゃんと聞く」「余すことなく理解する」ことこそが、本当に身に付けなければいけない態度なのです。
「ちゃんと聞く」ことさえできれば、自分から頑張って話をしなくても、「本質的な話ができるな」「頭のいい人だな」と思われるようになります。では、「頭のいい人」と「頭の悪い人」の聞き方の分かれ目とは何でしょうか?