さらにリーダーとなる年齢層は育児や介護などのプライベートにおける大変な時期と重なり、忙しさに拍車をかけています。

 これら4つの課題からマネジメントが機能しづらく、悩みを抱えるリーダーは多くいます。私が行うセミナーなどでよく聞くことは、

「やる気のない部下がいる。どう育てたらいいかわからない……」

 といった声です。

 やる気のない部下へのリーダーの向き合い方が、チームの目標達成を左右します。

 チームの中に一人でもやる気のないメンバーがいたら、その思いはほかのメンバーに伝播します。チームの雰囲気を悪くし、士気を下げかねません。目標達成に悪影響を及ぼすのは間違いないでしょう。

 そのメンバーもチームの貴重な一員ですから、やる気のないメンバーを置き去りにはできないのです。会話を重ね、意見を引き出し、成長を促すこと。チームの目標達成にはメンバーと伴走するリーダーの姿勢が求められると私は考えています。

 稲盛和夫さん(※編集部注/筆者がJALグループに在籍時代、JAL会長として経営再建を指揮した)はリーダーの大切なこととして常々「部下をよく観察して小さな変化も見逃さず、頻繁に声をかけてあげなければならない」などと語っておられました。

 マネジメントが困難となり、人財育成の難易度が上がっている時代だからこそ、チームのメンバーとの向き合い方、コミュニケーションのあり方が問われると思います。

日本企業は世界125カ国中で124位
「エンゲージメント」世界最低ランク

「エンゲージメント」という言葉をご存じでしょうか。

 エンゲージメントとは、社員の会社に対する愛着の度合いを指します。「会社のために頑張りたい」「貢献したい」といった自発的な意欲の強さを表すものです。

 エンゲージメントの向上は、組織の生産性や収益性などを高めることがわかっています。社員が会社に愛着を持ち、意欲的に仕事に臨む結果と考えれば、自然な成り行きといえるでしょう。もちろん、目標達成もその結果に含まれます。

 近年、エンゲージメントの向上に取り組む企業が増えてきました。