少子高齢化などの社会課題を追い風に、成長を続けるM&A仲介業界。成長率や報酬の高さに引かれ、多くのプレイヤーが続々と参入しているが、中には企業を食い物にする「悪徳ブローカー」も含まれているという。彼らは一体、どんな手口を駆使しているのか――。ダイヤモンド・オンラインが配信している「学びの動画」の特集『M&A仲介 新王者の条件』の内容を基に、特別にお伝えする(元の動画はこちらから)。
「M&A仲介」急成長の裏側で
はびこる「悪徳ブローカー」
少子高齢化に伴う「後継者不在」問題などを背景に、右肩上がりで成長しているのがM&A(企業の合併・買収)仲介業界だ。売り手企業と買い手企業の間に立ち、成約に向けて交渉をサポートするのが仲介業者の役割である。
案件の着手金や中間報酬に加え、M&Aが成立した場合は多額の成功報酬が支払われることから、M&A仲介業者の利益率は極めて高い(※)。高収益体質によって「社員の高給」を実現しているのもM&A仲介業者の特徴だ。
※報酬体系は企業によって異なり、着手金などを設けない「成功報酬型」の仲介会社も出てきている。
例えば、M&A仲介業界の最大手・日本M&Aセンターの2022年度における平均給与は1114万円。同じく業界大手で、上場企業の中で年収1位のM&Aキャピタルパートナーズは、平均給与が2487万円(22年度実績)と驚くべき水準である。
なお中小企業庁によると、2025年までに70歳を超える経営者は約245万人に上り、うち約半数の127万人は後継者が未定だという。経営者にとっては「譲り手」を探すことが急務になっており、2023年におけるM&A全体の件数は4015件に達している(M&A仲介会社のレコフ調べ)。
こうした市場環境を追い風に、今後もM&A仲介業界はさらに拡大していくとみられる。中には「M&A仲介の案件数は今後10年で2倍になる」「年収1億円も夢じゃない」と展望を語る業界関係者も存在する。
だが、多くのカネが生まれている業界に、有象無象が集まってくるのは世の常だ。昨今は「悪徳ブローカー」がM&A仲介に参入し、企業を食い物にする例が相次いでいる。