親にとって子の就活は子育ての集大成。実際にそう考えている保護者も多いだろう。それくらい、わが子の就活の様子は気になるものだ。「過干渉はよくない」「見守ることが大事だ」とわかっていても、気になるのが親心。親はどこまで子の就活に関わるべきなのか。人気企業の採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏が、普段見落とされているポイントを踏まえて解説する。
就活する子に対して
親にしか語れないこと
就活において子に伝えるべきことは何なのか、どのように子に関わるべきなのかは、親(保護者)にとって非常に大きな悩みだと思います。私自身、多くの就活生の相談に乗ってきた中で、最近気づいたことがあります。それは彼らが、「ここまで育ててもらうまでにどのくらいお金がかかったのか」「これから社会人として生きていくのに、どのくらいのお金が必要になるのか」という、生活感を伴ったお金に関する具体的なイメージを持てていないということです。
学生や若手社会人などは、ある職業に就く場合、「年収はどれくらいなのか」「何歳でいくらもらえるのか」を知りたがります。しかし、仮に年収1000万円もらえる場合に、「1000万円の年収でどんな生活ができるのか」という視点を、持ち合わせていないことがほとんどなのです。
そこで私は、こう提言したいと思います。就活をする学生に親だからこそ伝えるべきこと、それはズバリ「お金」の話です。
親はとかく「あの会社は安定していて給料がいい」「その職種は仕事が大変そうだからやめたほうがいいのでは」といった、漠然とした価値観を子に押し付けがちです。そうではなく、子が自分の理想とする生活観やキヤリア観を見つけるための手助けになるような話をすることこそが、親の務めだと思うのです。