働き改革が進展して久しい。ワーク・ライフ・バランスという考え方も浸透した。しかしその反動もあってか、昨今の学生の間では、多少厳しくても成長できる会社を求める声も強くなっているという。
就活生は「ゆるくて働きやすい会社」と「きつくて成長できる会社」のどちらを選ぶべきか。人気企業の採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏が、職場での成長という観点から見た企業選びのポイントを解説する。
まず考えるべきは
1社に骨を埋めるか、転職前提か
働き方改革が進む現在、将来の職場を選ぶ際に、「ゆるくて働きやすい会社」がいいのか、それとも「きつくて成長ができる会社」がいいのかと迷っている人は多いかもしれません。果たして長期的に見て、どちらが正解なのでしょうか。
その前に、まず考えてほしいのは、同じ会社である程度長く働き続けたいのか、それともキャリアアップを目指して転職も厭わないのか、ということです。これは、その人のライフスタイルや価値観にもよるので、どちらが正解ということはありません。
ただ注意しておきたいのは、「同じ会社に居続ける=成長しない」ということでもありません。成長にも、同じ会社に居続けることによる成長と、転職を重ねることによる成長があります。同じ会社に居続けても、ハードな案件を扱う部署に配属されたり、部署異動があったり、資格の取得が求められる環境であったりすれば成長できます。もちろん転職でも、異なる職場を渡り歩く経験を積むことで成長できます。
「同じ会社に居続ける=成長しない」とは言えないのと同様、必ずしも「転職=成長できる」と言えるわけではありません。当然ながら、ただ単に何社も渡り歩いただけという人の場合、転職市場での価値は低くなります。前にいた会社で特定の経験を積んで、できることを増やし、「こういう経験があります、こういう能力を身に付けました、こんなことができます」ということを転職先でアピールできなければ、次に進むのは難しいでしょう。