「トランプ復活」となれば
予測不能な要素が紛れ込むリスク
「バイデンVSトランプ」再戦の構図となった米大統領選だが、世論調査の支持率は拮抗した状況だ。
トランプ前大統領は、5月30日には、2016年の大統領選に関連して元不倫相手への口止め料を隠すため業務記録を偽造した罪で有罪判決を受けたが、強固な岩盤支持層の存在や米国社会の深刻な分断を考えると、大統領選で勝利する可能性も十分にあり得る情勢だ。
「トランプ復活」となれば、ウクライナ戦争での軍事支援停止の一方で、ガザ侵攻で強硬姿勢を続けるイスラエル寄りの姿勢を強め中東の緊迫度が高まるなど、国際情勢の不安定化が主に懸念されているが、日本への影響ということを考えれば、経済面での不透明感が一段と強まる。
バイデン大統領勝利の場合には政策の継続性から予測がほぼ可能だが、トランプ氏勝利となれば予測不能な要素が紛れ込んでシナリオが描き難い。
とりわけ、大統領選の公約として掲げているすべての国を対象にした「一律10%輸入関税」や移民規制の強化、大型減税継続は、米財政の悪化やインフレ再燃につながり、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策運営への介入が行われれば、想定外の市場波乱が起きる可能性もないとはいえず、影響は米国だけにとどまらない。
とりわけ日本経済や日本市場への影響が懸念されるのは「5つのリスク」だ。