組織として弱いなと思った年が
結果的に優勝できている

 このノートには、個人のことは書きません。その日の練習のこと、チームのこと、強くなるために組織としてどうあるべきかを書く。それに対して、僕がコメントを書く。読んだ方がいいなと思った新聞記事を貼ったりもしました。

 こういったノートは毎年作るわけではありません。組織として弱いなと思ったときにやります。最初にやったのが14年の中村の代でした。「天然もの」のリーダーがいるときって、案外、サブリーダー的な存在が育っていないことが多い。リーダーに任せきりになるからなのかなと思います。

 結果として、このノートを活用した14年は夏、17年は春、そして「ノートをやらせてください」と自分たちから言ってきた18年は春夏と甲子園で優勝することができました。2022年の選抜を優勝した今の3年生も、このノートに取り組みました。組織として弱いなと思った年が、結果的に勝っているんです。おもしろいものです。

 柱となる選手が何人いるとか、どこからアプローチするとか、その年によって違いますし、答えはないのですが、どういう組織を作るかということは、大阪桐蔭の野球にとってはそれだけ大きいことです。

 リーダー論、組織論は難しいです。色んな本を読ませて、感想を言わせたり。これはまだやっていませんが、2022年のサッカーW杯の日本代表の戦いぶりにも、感じることはありました。

 あれだけ後半に出る選手が活躍する。どれだけのモチベーションで準備をしていたのか。長友佑都選手くらいの(実績のある)選手が、ベンチにいてもあれだけチームを盛り上げることが出来るとか。

 後半勝負に持っていく。スタメンの選手だけじゃないってことなので。すごい組織だと思うんですよね。

 そういう話もこれから選手たちにしていくと思います。